新型コロナウイルス、バングラデシュは感染者ゼロも影響じわり

(バングラデシュ)

ダッカ発

2020年02月20日

バングラデシュの各種報道によると、2月17日時点でバングラデシュにおける新型コロナウイルス感染者は確認されていない。政府は中国人への到着ビザ発給の一時停止、海外から入国する全ての中国人に対する健康調査票記入の義務化、チャーター便で中国から帰国した一部バングラデシュ人の隔離措置などの対策を講じている。また、バングラデシュ伝染病研究所(IEDCR)は世界保健機関(WHO)のガイドラインに沿うかたちで、国民の新型コロナウイルスへの予防意識を高めるため、4つのホットラインを開設・運用している。

中国はバングラデシュにとって、最大の輸入相手国だ。2019年の対中国輸入額は約136億ドルで、衣料品の原材料をはじめ、インフラ開発に必要な機械関係や農産品、スパイスなど、品目は多岐にわたる。国家歳入庁によると、輸入品のニンニクは100%中国産で、2018年度は約6万4,000トン輸入している。商務省傘下のバングラデシュ貿易公社(TCB)の発表によると、ニンニクの卸売相場は、直近1カ月で1キロ当たり約30タカ(約39円、1タカ=約1.3円)、約17%上昇している。この背景には、新型コロナウイルスの影響によって中国からの輸出が滞っており、その長期化を危惧する販売業者が、価格を上げ始めていることがある(「ザ・デイリー・スター」2月5日)。ニンニクのほか、バングラデシュの食生活に欠かせないショウガやタマネギ、シナモンも中国からの輸入が主流だが滞っており、同様に価格高騰につながることが懸念されている。

また、在バングラデシュ日系企業への影響も出始めている。例えば、日本本社の海外出張自粛の方針に伴い、日本や近隣諸国から当地への出張を取りやめる企業が散見されるようになっている。

(山田和則、イスラット・ジャハン)

(バングラデシュ)

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