中国の2019年の貿易、輸入の落ち込みで前年比1%減、米中貿易摩擦の影響
(中国、米国)
北京発
2020年01月24日
海関(税関)総署の1月14日の発表によると、2019年の中国の貿易総額は前年比1.0%減の4兆5,753億ドルとなった。うち輸出は0.5%増の2兆4,984億ドル、輸入は2.8%減の2兆769億ドルで、4,215億ドルの黒字となった。元建てでは総額が3.4%増、輸出が5.0%増、輸入が1.6%増となった。
米国向け:輸出の減少幅は第3四半期から拡大、輸入は減少幅が縮小
主要国・地域との貿易総額をみると、米国、日本、香港が減少し、EU、ASEANは増加した。対米輸出は12.5%減、対米輸入は20.9%減となり、米国は年次で中国の貿易相手国・地域の中で2018年の第2位から第3位に後退した。対米輸出の減少幅は第3四半期(7~9月)から拡大したものの、対米輸入の減少幅は5.5ポイント縮小した(表参照)。
商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は米国のシェア低下について、前年まであった「駆け込み輸出」がなくなり、追加関税賦課によるマイナスの効果が顕在化したこと、ASEANなど米国以外の市場の開拓が進んだことなどを要因として指摘した。(「21世紀経済報道」1月15日)。
大豆:輸入減も減少幅は縮小傾向
税関総署の分類に基づく品目別に貿易額をみると、輸出では、携帯電話や衣類、自動データ処理機械、液晶ディスプレーなどが減少した一方、集積回路やプラスチック製品、精油、玩具などが増加した。輸入では、金額の大きい集積回路が2.1%減となったほか、金属加工機械、自動車部品、液晶ディスプレーなどが2桁減となった。大豆の輸入は2019年第3四半期まで前年同期比2桁減が続いていたが、2019年通年では7.2%減と減少幅が縮小した(数量は0.5%増)。鉄鉱石や天然ガス、医薬品、果物の輸入は増加した。
税関総署の鄒志武副署長は2019年の貿易について、世界経済の成長鈍化や内外におけるリスクの高まりの中でも安定成長を保ちつつ、輸出単価の上昇や高付加価値品の輸出増加など質の面でも向上したと評価した。2020年の貿易については引き続き安定した成長を続けるとの見通しを示した。
(小宮昇平)
(中国、米国)
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