カルナータカ州、工場での女性の深夜就業可能に

(インド)

ベンガルール発

2019年12月06日

インド南部カルナータカ州政府は11月20日、これまで禁止していた工場での女性従業員の深夜就業を認める通知を発表した。雇用者と被雇用者の書面での同意を前提に、女性の午後7時から翌日午前6時までのシフト勤務が可能になる。

同州政府はこれまで、ITやITを利用する産業に限って女性の深夜就業を認めていた。今回の通知によると、女性の権利や安全を確保するための24の条件を満たすことによって、製造業における深夜就業が可能になる。主な条件としては、深夜シフトを強制してはならないこと、ハラスメント防止管理体制の整備、苦情に対応する委員会の設置(女性をトップに据え、委員の50%以上が女性でなければならない)、工場の出入り口に十分な人数の女性警備員の配置、少なくとも10人以上の女性を雇用しており、女性従業員の3分の2が深夜シフトに入っていること、工場敷地内に適切な照明やCCTVカメラの導入義務化など、工場のソフト・ハードの両面に関わる内容が含まれている。

こうした政策変更の背景には、1948年に制定された工場法で禁じられていた女性の深夜就業が憲法に定められる平等の権利を侵害しているという1999年のチェンナイ高等裁判所の判決があるという。さらに、ベンガルールを中心とするカルナータカ州では近年、スマートフォンを生産する台湾企業やその電子部品を供給する関連工場の立地が進んでおり、これらの工場では手先の器用な女性を好んで使うことから、女性労働力の需要増加に対応した措置ともなっている。

24時間営業の店舗も可能に

女性の深夜就業の解禁に先立つ10月11日、カルナータカ州政府は「10人以上の従業員がいる全ての店舗での24時間営業を可能にする」との通知を出しており、24時間営業が期待されるコンビニエンスストアでも展開が可能になった。こうした労働環境の変化によって、新たなビジネスチャンスや雇用パターンの創出が予想される。

一方で、女性の雇用機会拡大や深夜就業が可能になっても、資金力に乏しい中小企業は雇用を急に増やすことができないため、大企業だけが便益を得るとする批判も既に上がっている。

(遠藤壮一郎)

(インド)

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