米国の9月の対中輸入額は前年同月比2割減、第1～3弾に加え第4弾も押し下げ要因に

米国商務省が11月5日に発表した貿易統計（通関ベース、原数値）によると、米国の9月の対中輸入額は402億2,000万ドルで、前年同月比で19.6％減少した（表参照）。1～9月累計では3,419億6,000万ドルで、前年同期比で13.4％減少となった。

9月の対中輸入額を対中追加関税措置の弾別に試算すると、第3弾の対象品目は83億8,400万ドルで、前年同月比38.4％減少し、対中輸入額の減少に最も寄与した（寄与度マイナス10.46ポイント）。続いて、第4弾B（12月15日に制裁発動予定）の輸入額が153億4,800万ドルで4.6％減少し、第4弾A（9月1日制裁発動）が96億8,000万ドルで3.1％減少、第1弾が5億6,800万ドルで22.9％減少、第2弾が1億8,000万ドルで41.5％減少と、発動前の第4弾Bを含め全ての弾別で減少となった。第4弾Bの減少に寄与した主な品目を見ると、ビデオゲーム用のコンソールおよび機器（HTS9504500000項）、自動データ処理機械（HTS8471300100項）、携帯電話（HTS8517120050項）は中国からの輸入が減少する一方で、メキシコ、台湾、ベトナムからの輸入が大きく伸びた。発動を見越して供給元の変更が行われているものとみられる。

なお、追加関税の対象外品目の対中輸入額は17億6,900万ドルで55.1％減となっている。これは、米国通商代表部（USTR）が追加関税対象品目を細分化するために、電話機およびその他の機器（HTS8517項）でタリフラインの一部を廃止し、新たなタリフラインを設立したことが影響している。

米国の9月の対中輸入額をHTS上位4桁でみると、電話機およびその他の機器（HTS8517項）が65億7,100万ドルで15.2％減少、自動データ処理機械（HTS8471項）が31億6,400万ドルで28.9％減少し、8月に引き続き前年同月比での減少に大きく寄与した（添付資料参照）。

一方、玩具（HTS9503項）は11.9％増の17億1,600万ドル、祝祭用品、カーニバル用品（HTS9505項）は12.7％増の7億7,800万ドル、ヘアドライヤー、アイロン、その他家庭用電熱機器（HTS8516項）は2.4％増の6億7,200万ドルと増加した。

なお、トランプ米国大統領は米中貿易交渉の閣僚級協議を受け、10月15日に予定していた対中追加関税第1弾～3弾の引き上げを見送った（2019年10月15日記事参照）。12月15日発動予定のリスト4Bの追加関税についても、今後の交渉を経て最終的な判断を行うとしている。

（注）リスト別の適用除外対象品目の発表は次のとおり。

（1）リスト1

1回目：2018年12月28日（2019年1月4日記事参照）

2回目：2019年3月25日（2019年3月28日記事参照）

3回目：4月18日（2019年4月18日記事参照）

4回目：5月9日（2019年5月13日記事参照）

5回目：6月4日（2019年6月5日記事参照）

6回目：7月9日（2018年7月16日記事参照）

7回目：9月20日（2019年9月24日記事参照）

8回目：10月2日（2019年10月3日記事参照）

（2）リスト2

1回目：2019年7月31日（2019年8月1日記事参照）

2回目：9月20日（2019年9月24日記事参照）

3回目：10月2日（2019年10月3日記事参照）

（3）リスト3

1回目：2019年8月7日（2019年8月7日記事参照）

2回目：9月20日（2019年9月24日記事参照）

3回目：10月28日（2019年10月30日記事参照）

（綿引文彦）