政府、2020年の資金調達プログラムを発表

(トルコ)

イスタンブール発

2019年11月12日

トルコ財務省が10月31日に発表した2020年の資金調達プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、政府は同年のドル建てでの資金調達計画として、国債発行を通じて国際資本市場から90億ドルを調達する構えだ。加えて、国際金融機関からのプロジェクトおよびプログラムローンを通じて最大96億ドルを調達するという。財政支出の拡張で、景気刺激を図ることが目的とみられる。なお、9月12日付の官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、大統領府管轄下に債務局(Borclanma Genel Mudurlugu)が設立され、大統領が政府の全ての債務を管理し、国債発行や発行金利などの決定権を持つことになった。

政府は2003年以降、外国為替、金利、流動性リスクを数量目標により効率的に管理する戦略的なベンチマークポリシーを採用し、公的債務に関するリスク管理を強化し、市場環境の変動に対する脆弱(ぜいじゃく)性を低下させており、EU基準における一般政府債務のGDP比は改善している、と強調している。トルコの公的債務残高は、現在GDP比で30%と健全にみられるが、一方で、その背景には信用リスクの高まりによって発行国債の買い手が少ないことも指摘されている。こうした状況下での90億ドル規模の国債発行では、スプレッド(利回り格差)が大きくなると予想されており、財政問題の先送りにしかならない可能性が懸念されている。

(中島敏博)

(トルコ)

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