2020年の経済成長率見通し、前年比0.5~2.5%へ

(シンガポール)

シンガポール発

2019年11月27日

シンガポール貿易産業省(MTI)は11月21日、2019年通年の実質GDP成長率予測を前年比0.0~1.0%から、0.5~1.0%へと小幅の上方修正をした。2020年通年のGDP成長率は0.5~2.5%とやや改善するとの見通しを明らかにした。

MTIは8月以降、国際経済の成長が引き続き弱含みで推移しているものの、「安定化の兆しがある」との見方を示した。製造業については、第3四半期(7~9月)にエレクトロニクスが引き続き縮小する一方、バイオメディカル(医薬品・医療機器)と航空の両部門が大きく拡大したと指摘。2019年内は、製造業と貿易関連のサービス部門が引き続き低迷するものの、建設や情報・通信、金融・保健、教育、ヘルスケア・社会サービスが堅調に成長すると見込んでいる。

同省は2020年の見通しについて、新興途上国に牽引されるかたちで「国際経済の控え目な回復」が予想されていると述べた。しかし、シンガポールの最終需要先である米国や中国などの経済は引き続き軟化すると見込んでいる。MTIは、この主要な最終市場の見通しと、この先の国際エレクトロニクス市場の回復を勘案すると、シンガポール経済が2020年に前年と比べると「やや回復する」との見通しを示した。

第3四半期のGDP改定値、前期比2.1%増

MTIによると、2019年第3四半期のGDP成長率の改定値は前年同期比0.5%だった。前期比年率では季節調整済みで2.1%と、前期のマイナス2.7%からプラスに転換した。分野別では、製造業がエレクトロニクスの低迷により第3四半期に前年同期比マイナス1.7%だったが、第2四半期(4~6月)のマイナス3.3%よりもマイナス幅が縮小した。また、建設は2.9%、サービス業が0.9%だった(表参照)。

表 シンガポールの実質GDP成長率の推移

(本田智津絵)

(シンガポール)

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