中国政府、モノづくりのシェアリング・エコシステムを育成

(中国)

広州発

2019年11月13日

中国工業情報化部は10月22日、「モノづくりのシェアリング新モデル・新業態を育成し、製造業の品の高い発展を促進する指導意見」〔工信部産業(2019)226号〕を発表(以下、指導意見)した。シェアリングエコノミ―の製造業への浸透を強く後押しする。

中国では、民泊やライドシェアなどのサービス分野で、シェアリングが既に日常生活に浸透している。最近では製造業でも、機械加工や電子製造、デザイン設計、検査測定、物流などにおいて、企業間で遊休資源の貸し借りを行うケースが散見されるようになってきた。指導意見では、こうした取り組みを各業界で効率的に加速させるべく、2022年までにイノベーション力が高く業界への影響力を有するプラットフォーム20社を育成、モデルプログラム50件を支援し、モノづくりのシェアリング・エコシステムの初歩的な形成を目指すとした。また、2025年までに同エコシステムの完全な形成を目指している(詳細な取り組みは表参照)。

表 モノづくりのシェアリング新モデル・新業態の育成に向けた取り組み方針

技術開発やサービスもシェアリングの対象に

工業情報化部産業政策司が発表した指導意見の解説によると、モノづくりのシェアリング対象は、専用工具や製造ラインなどの生産設備にとどまらず、研究設備や物流倉庫に加え、品質検査、設備メンテナンス、出荷検収、購買管理、データ保存・分析など、モノづくりに必要な各種サービスにも及ぶ。

実験機械・設備のシェアリング・プラットフォームの代表的な成功事例としては、中国科学院が2016年末に構築したプラットフォームが挙げられる。同院が所持する約8,000台、110億元(約1,650億円、1元=約15円)相当の設備をシェアし、2017年11月末までの約1年間で利用者数は約4万人に達した(「中国新聞網」2017年11月22日)。

(盧真)

(中国)

ビジネス短信 3ec115467132ef9e