アンドラ・プラデシュ州、75%以上の現地雇用を義務付ける州法施行規則を公布

(インド)

チェンナイ発

2019年11月14日

インドのアンドラ・プラデシュ(AP)州政府は10月14日、州内の工場などに対し、雇用の75%以上を「州内の居住者(Local candidate)」とすることを義務付ける新州法の施行規則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(The Andhra Pradesh Employment of Local Candidates in the Industries / Factories Rules, 2019)を公布した。州政府はこれに先立つ8月に州法(The Andhra Pradesh Employment of Local Candidates in the Industries/Factories Act, 2019)を公布していた(2019年9月4日記事参照)が、実際の運用や「州内の居住者(Local candidate)」に関する条件、雇用義務を守れなかった場合の罰則などは施行規則で規定されることとなっていた。

施行規則は進出企業の負担増となる内容

施行規則の適用対象は、2014年6月の旧AP州分割以降に工場などを設立した法人などのほか、今後工場を設立する法人なども含まれる。これらの企業は、原則として施行規則公布日から3年以内に75%以上の現地雇用を達成する必要がある。また、適用除外申請も可能だが、除外の有効期間は原則1年間とされ、その間に適宜、州内居住者を指定し、技術レベルを改善するために必要なトレーニングを施すこととされた。1年以上の適用除外申請も認められるが、適用除外が必要な状況を詳細に説明する報告書を提出しなければならない。なお、これらの申請に対する許可基準についての説明はなく、判断は当局に委ねられる。

「州内の居住者」の定義も明らかに

「州内の居住者」は、州内に10年以上居住する者、または州内に10年以上居住する家族がいる者などと定義された。こうした基準を満たしているか否かは、政府が発行するIDカードや公共料金の請求書などで判定するという。また、従業員の採用時には、工場などが立地する町村を優先し、適切な技術を持った人材を採用できない場合には、対象地域を県内や州内などへ広げることができるとした。

違反時の罰金は、初回が最大2万5,000ルピー(約3万7,500円、1ルピー=約1.5円)、2回目以降が最大5万ルピーとなった上、工場などが75%以上の現地雇用を6カ月間維持していないことが判明した場合、州政府は工場などのライセンスや許認可取り消しを含む罰則を科すことができることになった。

加えて、施行規則の適用対象者は規則公布日から30日以内に、現在の雇用者数、州内居住者雇用数、75%要件に対する不足数と達成に向けた行動計画、タイムラインなどの情報を当局に提供するとともに、四半期ごとに雇用状況などを報告する義務が課されている。

日系企業が集積するAP州最南端のスリ・シティ工業団地では、AP州だけでなく隣接するタミル・ナドゥ(TN)州などからも人材を確保している企業が多く、施行規則のコンプライアンスは進出企業にとって負担増になるとみられる。

(坂根良平)

(インド)

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