第2期ジョコ政権、閣僚に大統領選の対立候補やスタートアップ創業者も

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年10月28日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は10月23日、第2期政権の閣僚を発表した。最大野党党首で4月の大統領選挙を争ったプラボウォ・スビアント氏を国防相に据えたほか、インドネシアを代表するスタートアップ企業ゴジェック(Gojek)創業者兼最高経営責任者(CEO)のナディム・マカリム氏を教育・文化相にした。元世界銀行専務理事のスリ・ムルヤニ財務相は留任した。駐日インドネシア大使のアリフィン・タスリフ氏はエネルギー鉱物資源相に就任した(添付資料参照)。

組閣に当たり、ジョコ・ウィドド大統領は事前に、若手人材の登用や投資・輸出の促進、人材育成のための省庁再編を行うと宣言していたが、直前になって野党との面談を重ねたことなどから、野党が与党に合流するかどうか、政党関係者がどのくらいの閣僚ポストを占めるかという点が注目されていた。

「ジャカルタ・ポスト」紙は、プラボウォ氏が入閣したことで、政府に対するチェックやバランス機能を欠く可能性があるとの懸念を伝えた。最大野党の合流によって、与党勢力が国会に占める割合は約4分の3となる見込み。「コンパス」紙は、新内閣が一丸となってジョコ政権の公約を果たすべきと報じた。ジョコ大統領は10月20日の就任演説で2045年の先進国入りを目指し、任期の5年間で人材育成やインフラ開発、規制緩和などに取り組む考えを示している(2019年10月25日記事参照)。

新内閣の人選に対しては、疑問視する声も出ている。例えば、ゴジェックを創業から10年足らずで世界に20社ほどしかないデカコーン企業(注)の1社に育てたナディム氏の登用についても、所掌するポストがスタートアップ政策ではなく、教育と人材育成としたことに、起業家としての実績と合わないとする報道が見られる。

省庁再編では、従来の海事担当調整相を海事・投資担当調整相と改め、投資分野の調整機能を強化したほか、観光相を観光・創造経済相とし、地方などの観光開発とそれに伴う産業育成を一体的に行う体制とした。

なお、大臣就任式でジョコ大統領が各閣僚に対して行った訓示は以下のとおり。

  1. 汚職の禁止
  2. 各大臣のビジョン・使命はなく、あるのは大統領・副大統領のビジョン・使命だけ
  3. 迅速、勤勉、生産的に働くこと
  4. 単調なルーティンにとらわれないこと
  5. 成果実現を志向して働くこと
  6. 現場を確認してソリューションを見いだすこと
  7. 真摯(しんし)に働くこと

(注)企業評価額100億ドル超の未上場企業。

(山城武伸)

(インドネシア)

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