太平洋同盟、インダストリー4.0についてのフォーラムを開催

(チリ、ペルー、コロンビア、メキシコ)

米州課

2019年10月02日

米国ニューヨークで9月25日、太平洋同盟の加盟国首脳らが参加したフォーラムが開催され、チリからはセバスティアン・ピニェラ大統領、コロンビアからはイバン・ドゥケ大統領、ペルーからはマルティン・ビスカラ大統領、メキシコからはグラシエラ・マルケス経済相が登壇した。今回のフォーラムのテーマは、インダストリー4.0に際して変化していく産業についてで、各参加者から各国の状況やインダストリー4.0の今後についてコメントがあった。

ピニェラ大統領は、特に5G(第5世代移動通信システム)について、その重要性を強調すると共に、5G技術を活用できる人材育成の必要性についても述べた。チリは5G技術については開発を進めており、7月には既に5Gを使用した実証実験を行っている(2019年8月8日記事参照)。ドゥケ大統領は、自身の政策としても推進しているクリエーティブ産業の可能性について述べ、インダストリー4.0にクリエーティブ産業が融合していくことで、雇用の創出が期待されると述べた。またコロンビアには、スペイン語圏で唯一、世界経済フォーラムのインダストリー4.0の研究・開発拠点があることにも触れた。同拠点では、国内における高付加価値ビジネスの創出、生産性および競争力の向上も推し進めるほか、中南米地域共有の課題解決に向けた研究もしている(2019年2月12日記事参照)。ビスカラ大統領は、ペルー国内ではまだ情報インフラが整備されていない地域があることについて触れ、インダストリー4.0によって、そのような地域の生活水準の向上も期待したいと述べた。マルケス経済相は、経済成長を促進させるためだけでなく、経済格差を埋めるためにもイノベーションに期待したいとコメントした。

太平洋同盟は7月に採択された「リマ宣言」の中で、「デジタル化、インダストリー4.0、イノベーションの推進を通して、情報網の活性化を目指す」ことを掲げている(2019年7月11日記事参照)。今後も各国の課題解決に向け、加盟国間で協調していくことが期待される。

(佐藤輝美)

(チリ、ペルー、コロンビア、メキシコ)

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