9月のCPI上昇率は前年同月比で1桁台に急低下

(トルコ)

イスタンブール発

2019年10月17日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(10月3日)によると、9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、市場予測(1.1~1.4%)を下回る、前月比0.99%となり、前年同月比では8月の15.01%から、9.26%に大きく改善した(添付資料の表1参照)。1桁台となったのは2017年7月以来となる。

食品価格などほぼ全項目でベース効果

9月のCPI上昇率は、最大のウエート(構成比23.29%)を持つ食品・飲料(アルコール飲料を除く)が、前年同月比で、8月の17.22%から9.52%にまで急低下し、インフレ圧力を軽減させた。特に、未加工食品の生鮮果物野菜が5.29%減と下落し、物価抑制に大きく寄与した。

また、耐久消費財の上昇は、白物家電が前月比で2.63%の上昇をみせたが、自動車が0.81%減となったこと、さらにベース効果(注)もあり、前年同月比で2.82%減となった。この結果、コア指数(主要商品:食品、エネルギーなどを除いたもの)全体でも、年初の22.75%から2.98%まで抑えられている。ただ、アルコール飲料・たばこ、金は、たばこ価格が上昇したことにより、35.39%増と高水準にある。

サービス部門は、タクシー料金の値上げ(前月比19.71%増)による運輸の上昇が著しかったが、ホテル・レストランや不動産、通信がベース効果で低くなったため、全体の上昇率では12.54%に抑えられた。

国内生産者物価指数(D-PPI)上昇率は、前年同月比で8月の13.45%から、9月は2.45%に急低下し、消費者物価への圧力を軽減した(添付資料の表2参照)。

市場予測を超える9月のインフレ急低下の要因は、前年同時期の通貨下落に連動した強力なベース効果の結果とされる。この傾向は10月にも継続するが、その後は反転し、2019年内には12~14%前後に戻ることが予想されている。

また現地の報道によると、専門家の中には、通貨下落に対処するため安全資産として外国通貨や金などに換金するいわゆる「ドル化」に警鐘を鳴らす向きもある。トルコ中央銀行によると、9月27日時点でトルコ人が保有する外国為替は、過去最高となる1,936億9,300万ドルに達している。これに対して、ベラト・アルバイラク国庫・財務相は、新しい措置を導入することを計画しているとしたが、不安定な為替動向や金利低下傾向の下で、外貨ニーズは高まっている。さらに、シリア情勢など不安定材料は多く、通貨リラ下落がインフレ高騰に結びつくリスクを抱えている。

(注)ベース効果とは、比較対象となる前年同月の水準が高いために、インフレ率の伸びが低下することをいう。

(中島敏博)

(トルコ)

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