経済省が産業政策の重点10カ条を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2019年10月08日

メキシコ経済省は10月3日、ケレタロ市で開催された自動車産業および航空宇宙産業のB2Bマッチングイベントの開会式において、現政権の産業政策の重点10カ条を発表した。同イベントは、自動車や自動車部品、航空機部品などを製造するメーカーから約70社の調達企業、同サプライチェーンの約100社のサプライヤー、国立計量標準センター(CENAM)などの学術・研究機関が参加する大規模なもので、開会式にはグラシエラ・マルケス経済相やエルネスト・アセベド商工担当次官、企業家調整評議会(CCE)や全国工業会議所連合会(CONCAMIN)など産業界の代表、各州の経済開発局の代表らも参加していた。

発表された10カ条は以下のとおり。

  1. 経済競争を促進し、貧困問題の解消、国内市場の活性化・強化を図る。
  2. 経済開放を通じて国内調達比率の増加に結び付く生産チェーンの構築を図り、国の生産能力を増強する。
  3. 連邦・州・自治体の3つのレベルで規制緩和を促進し、規制コストの低下と順守の容易化を図る。
  4. 信頼感を付与する良好なビジネス環境を生み出し、国内および外国からの投資を促進する。
  5. 中小企業の成長を促し、政府調達における国内中小企業の参画を拡大する。
  6. 製造業のデジタル化とインダストリー4.0を推進し、それに向けた人材育成の高度化を図る。
  7. 標準化プロセスの現代化を行うとともに、質の高いインフラを推進する。
  8. 中長期的な生産性と競争力の強化のための本質的要素として、医療経済学を促進する。
  9. 大蔵公債省と経済省、他の連邦省庁間で調整を密にし、開発銀行の産業プロジェクト向け融資を増大させる。
  10. 後開発地域の産業プロジェクトにインセンティブを付与する。

予算確保が課題に

大統領の意向による、福祉政策や治安対策への予算配分の重点化で、現政権下では経済省の予算が減らされる方向にある。経済省の2020年予算は前年比で実質33.3%削減される(2019年9月13日記事参照)が、ソフトウエア開発などIT関連プロジェクト向け補助政策のPROSOFTやそれ以外の産業分野のプロジェクトに向けた補助政策である生産性・産業競争力プログラム(PPCI)の予算も、それぞれ名目で50.1%減、49.3%減と半減している。今回発表された10カ条では、製造業のデジタル化やインダストリー4.0の推進がうたわれているが、それに向けた十分な予算が連邦政府に確保されている状況とは言い難い。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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