米国の8月の対中輸入額、追加関税第1~3弾対象品目を中心に2桁減

(米国、中国)

米州課

2019年10月17日

米国商務省が10月4日に発表した貿易統計(通関ベース、原数値)によると、米国の2019年8月の対中輸入額は411億8,700万ドルで、前年同月比で14.0%減少した(表参照)。1~8月累計では3,017億4,000万ドルで、前年同期比で12.5%減少となった。

対中追加関税措置の弾別に対象品目の対中輸入額を試算すると、8月の第3弾の対象品目の輸入額は101億5,400万ドルで、前年同月比33.3%減少し、対中輸入額の減少に最も寄与した(寄与度マイナス10.59ポイント)。続いて、第2弾の輸入額が1億8,300万ドルで62.3%減少し、第1弾は6億2,000万ドルで26.4%減少した。また、企業の申請により適用除外となった品目(注)についても、除外申請が認められるまでの間は輸入額が減少し、輸入額30億1,200万ドルで27.9%減少した。一方、トランプ大統領が9月1日から追加制裁措置を発動している(2019年8月14日記事参照)、第4弾Aの対象品目の対中輸入額は116億3,500万ドルで、19.0%増加した。12月15日からの発動を予定している、第4弾Bの対象品目は137億6,100万ドルで、2.5%の微増となっている。なお、追加関税の対象外品目の対中輸入額は18億2,200万ドルで、53.9%減となっている。これは、米国通商代表部(USTR)が追加関税対象品目を細分化するために、電話機およびその他の機器(HTS8517項)においてタリフラインの一部を廃止し、新たなタリフラインを設定したことが影響している。

表 米国の制裁弾別の対中輸入額(試算)

米国の8月の対中輸入額をHTS上位4桁でみると、電話機およびその他の機器(HTS8517項)が43億4,200万ドルで前年同月比21.8%減少、自動データ処理機械(HTS8471項)が37億400万ドルで19.8%減少し、7月に引き続き前年同月比での減少に大きく寄与した(添付資料参照)。

一方、玩具(HTS9503項)は前年同月比13.4%増の14億4,900万ドル、ビデオゲーム用コンソールおよび機器(HTS9504項)は84.2%増の9億3,500万ドル、祝祭用品、カーニバル用品(HTS9505項)は18.5%増の8億5,300万ドルと増加した。これらは、クリスマス商戦に向けた第4弾発動前の駆け込み輸入とみられる。

なお、第4弾B対象品目の8月の対中輸入額については、ビデオゲーム用コンソールおよび機器、玩具が伸び、増加に大きく寄与する一方で、電話機およびその他の機器、自動データ処理機械が押し下げ要因となり、全体の伸びを抑える結果となった。

(注)リスト別の適用除外対象品目の発表は次のとおり。

(1)リスト1

1回目:2018年12月28日(2019年1月4日記事参照

2回目:2019年3月25日(2019年3月28日記事参照

3回目:4月18日(2019年4月18日記事参照

4回目:5月9日(2019年5月13日記事参照

5回目:6月4日(2019年6月5日記事参照

6回目:7月9日(2018年7月16日記事参照

7回目:9月20日(2019年9月24日記事参照

8回目:10月2日(2019年10月3日記事参照

(2)リスト2

1回目:2019年7月31日(2019年8月1日記事参照

2回目:9月20日(2019年9月24日記事参照

3回目:10月2日(2019年10月3日記事参照

(3)リスト3

1回目:2019年8月7日(2019年8月7日記事参照

2回目:9月20日(2019年9月24日記事参照

(綿引文彦、甲斐野裕之)

(米国、中国)

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