天津市が労災保険の規定を発表、11月から施行

(中国)

北京発

2019年09月26日

天津市政府は2019年9月17日、「天津市労災保険若干規定」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2019年市政府令第14号)を発表した。11月1日から施行する。同時に、2012年2月3日に公布した「天津市労災保険若干規定」(2012年市政府令第50号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを廃止する。

新規定で新しく定められた主な内容は次のとおり。

(1)争議でよく問題となる以下の状況について、労災と認定することを明確にした。

  1. 従業員が出社、退社時、合理的な時間内に、仕事場と居住地、常住居住地、会社の宿舎および配偶者、両親、子供の居住地の間を合理的な路線で往復する場合、労災の対象となる出退社途中と見なす。
  2. 従業員が勤務中、急病になり医療機関へ搬送したものの、48時間内に救急処置のかいなく死亡した場合、労災と見なす。48時間は初回救急処置開始時から起算する。
  3. 従業員の業務の関係で外地駐在した場合、固定住所と明確な勤務時間があれば、労災認定の対象とする。
  4. 従業員が通勤バスを利用しての出退社時に発生した事故による傷害は、「労災保険条例」第十四条第六項の規定〔注1〕に基づき処理する。

(2)非全日制従業員を含む従業員が2カ所以上と労働(人事)関係にある場合、各雇用者はそれぞれ労災保険に加入しなければならない。従業員が労災事故に遭遇した場合、事故が発生した業務における雇用者が労災保険の責任を負う。

(3)労災で身体障害レベル5~10級と認定された従業員は、本人が希望しなければ労働契約を解除できない。本人と合意し労働契約を解除する場合、本人の身体障害レベルに応じて、一時金として労災保険基金から労災医療補助金、企業から障害者就労補助金を本人に支給するが、法定定年退職までの期間による支給率を設けた。

  1. 法定定年退職年齢までの期間が5年未満の場合、労災医療補助金と障害者就労補助金の規定額の80%を支給する。
  2. 4年未満の場合、60%を支給する。
  3. 3年未満の場合、40%を支給する。
  4. 2年未満の場合、20%を支給する。
  5. 1年未満の場合、10%を支給する。
  6. 法定定年退職年齢になり年金受給条件に該当する場合、労災医療補助金と障害者就労補助金を支給しなくてよい。ただし、「中華人民共和国労働契約法」の第三十八条規定〔注2〕の場合を除く。

〔注1〕「労災保険条例」第十四条第六項:出退社途中に、本人に主な責任のない交通事故または都市軌道交通、客運フェリー、列車事故に遭い、負傷した場合。

〔注2〕「労働契約法」第三十八条:使用者が次の各号に掲げる状況のいずれかに該当する場合、労働者は労働契約を解除することができる。(1)労働契約の約定に従った労働保護または労働条件を提供しない場合、(2)労働報酬を遅滞なく全額で支払わない場合、(3)法による労働者のための社会保険料を納めない場合、(4)使用者の規則制度が法律、法規の規定に違反し、労働者の権益に損害を与えた場合、など。

(鄭慧)

(中国)

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