第2次コンテ内閣発足に向け、閣僚人事が出そろう

(イタリア)

ミラノ発

2019年09月10日

イタリアのコンテ首相は9月4日、マッタレッラ大統領に閣僚名簿を提出した。大統領の承認を経て、5日にコンテ新内閣の宣誓式が行われ、9日には下院での信任投票で承認された。10日に予定される上院での信任投票で承認されれば、正式に第2次コンテ内閣が発足することとなる。

閣僚の人選からは協調姿勢がにじむ

閣僚名簿外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますには21人(首相を除く)の顔ぶれが並ぶ(表参照)。約3分の1を女性が占める。前政権では副首相、経済開発相などを兼任していた五つ星運動のルイジ・ディ・マイオ党首は、33歳の若さで外相のポストについた。

表 第2次コンテ内閣の閣僚名簿

移民政策をつかさどる内相の人選には特に注目が集まったが、ルチアーナ・ラモルゲーゼ氏の就任が決まった。同氏は2017年から2018年にかけてミラノ県知事を務めた経験があり、移民政策については寛容な立場を取ってきたことで知られる。サルビーニ前内相はしばしば厳しい姿勢を打ち出してきたが、今回の閣僚交代を機に移民政策も今後、軟化していくものとみられる。

欧州担当相にはビンチェンツォ・アメンドラ氏、経済・財務相にはロベルト・グアルティエーリ氏が着任する。両ポストとも、前回はEUに対して強硬な姿勢をとる人選がされていたが、今回は両氏とも親EUの立場をとる民主党からの選出となり、EUとの関係を見直していく新政権の思惑が読み取れる。

しかし、引き続き政権を担うことになった五つ星運動は、以前からEUに懐疑的な立場をとっており、その点において共通していた中道右派・同盟と前連立政権を成立させた経緯がある。また、党首のルイジ・ディ・マイオ氏から、しばしば強硬な発言がうかがえることから、「EUとの関係見直し」の努力がいつまで続くのかは不透明だ。

首相の動きに再び注目が集まる

9月9日に行われたコンテ首相による下院での所信表明演説では、他の予算財源が見つからなければ、自動的に引き上げられる予定となっている付加価値税の増税回避をはじめとする税負担の軽減、賃金における男女間の格差是正などに話題が及んだ。また、「イタリア人の幸福追求はEUの枠組みの中においてなされることであり、その外ではない」と発言。EUとの協調姿勢をにじませた

第1次政権に引き続き、政治的立場の異なる2党のかじを取ることとなったコンテ首相の動きに、再び注目が集まる。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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