経済財政省、実質GDP成長率見通しを発表、2019年は3.0%へ下方修正

(ペルー)

リマ発

2019年08月30日

ペルー経済財政省(MEF)は8月21日、2020年から2023年にかけての同国におけるマクロ経済の見通しを発表した。その中で、2019年の実質GDP成長率の見通しにも触れており、米中貿易摩擦への懸念と第1四半期(1~3月)の成長率の鈍化を理由に、4月時点の4.2%という予測から3.0%へ大きく下方修正した。第1四半期は、漁業、鉱業などを中心とした第一次産業で前年同期比3.1%のマイナス成長を記録した。ペルー中央準備銀行の統計によると、民間投資が第1四半期の2.9%から第2四半期(4~6月)は5.1%と伸び、第一次産業以外の分野も2019年上半期で前年同期比3.3%のプラス成長だったため、MEFは下半期にかけての経済の好転を予測している。

だが、経済界からは楽観的過ぎるとの声も上がっている。リマ商工会議所のシンクタンクである経済事業開発研究所(IEDEP)のセサル・ペニャランダ所長は「MEFの見通しは依然として現状を見誤っている。2019年上半期の民間投資は既存の鉱業投資とパンアメリカン(全米州)競技大会による特需が背景にある。外部要因はもとより、国内の第一次産業の後退と政情不安により新規の投資は見込めず、楽観視はできない」としている。リマ商工会議所は既に3カ月前に、2019年の実質GDP成長率を2.7%と予測した。これに対して、カルロス・オリーバ経済財政相は、地方自治体を中心に公共投資予算の執行率はまだ3割程度であり、後期に向けての余力を示唆し、公共投資に比例しての内需の拡大を予測した(「ヘスティオン」紙8月26日)。

2020~2023年の平均成長率について、MEFは4.4%としており、2020年の4.0%から2023年は5.0%まで成長するとしている。その主な要因としては、7月に発表した「競争力と生産性の国家計画」と、それに準じた「国家インフラ計画」の推進による内需の拡大を挙げている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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