第2四半期の輸出入、ともに6四半期で最高額

(スイス)

ジュネーブ発

2019年08月01日

スイス連邦関税局は7月18日、2019年第2四半期(4~6月)の貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。輸出は、前期比1.4%増の582億スイス・フラン(約6兆4,000億円、CHF、1CHF=約110円)となった。特に中国向けの輸出が伸び、過去3年間で最高の成長を記録した。輸入は、0.2%増の515億CHFとなった。輸出・輸入ともに過去6四半期で最高額となった。貿易収支は、前期比7億CHF増の68億CHFの黒字だった。

輸出を品目別にみると、化学品・医薬関連品(前期比2.4%増)、輸送用機器(9.3%増)が伸びた(表1参照)。化学品・医薬関連品は2018年第3四半期以降継続して増えており、当期は特に、医薬品原材料の輸出が16.1%増と大きく伸びた。一方、時計(0.0%)、精密機械・医療機器(0.4%減)の伸びは鈍化した。なお、連邦関税局によると、国内の一部の製薬会社は2019年初頭から、新しい物流形態を段階的に導入している。これまでは、スイス国外で生産した商品を一度、スイスに輸入してから第三国に輸出していたが、スイスを通さずに、最終生産地から仕向け国に直接輸出することになった。このモデルの導入により、スイスの製薬関連品の輸出入は、統計上それぞれ50億CHF程度減少したと推測している。

表1 2019年第2四半期の主要品目別輸出(通関ベース)

輸出を国・地域別にみると、EU向け(前期比2.6%増)、米国向け(2.4%増)が伸びた一方、オセアニア向け(8.3%減)、アフリカ向け(1.6%減)、アジア向け(0.1%減)は減少した(表2参照)。EU向けでは、ドイツ(1.8%増)、オランダ(7.2%増)、オーストリア(9.8%増)などが増え、化学品・医薬関連品の輸出増が牽引した。アジアについては、シンガポール向けが27.3%増、中国向けは7.6%増で、過去3年間で最高額を記録した。一方で、日本向け(7.4%減)および香港向け(8.3%減)は減少した。

表2 2019年第2四半期の主要国・地域別輸出入(通関ベース)

輸入を品目別にみると、装身具・宝飾品(前期比11.3%増)、製紙・印刷・出版物(12.1%増)、が大きく伸びた。一方で、エネルギー製品(2.6%減)、輸送用機器(2.4%減)、金属(1.8%減)は減少した。

輸入を国・地域別にみると、米国(前期比10.6%増)が大きく伸びた。アジアは、シンガポールが大幅増(24.4%増)となったが、中国(1.7%減)、アラブ首長国連邦(15.3%減)の減少が大きく響き、全体で0.2%増にとどまった。欧州は2.0%減少したが、英国(7.3%増)は4四半期連続で増加した。

(城倉ふみ)

(スイス)

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