2018年の対内直接投資額は前年比2.6倍

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2019年08月19日

南アフリカ共和国準備銀行(SARB、中央銀行)の発表によると、2018年の対内直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比2.6倍の706億2,700万ランド(約4,943億8,900円、1ランド=約7円)だった(表1参照)。2018年2月に大統領に就任したシリル・ラマポーザ氏が「今後5年間で1,000億ドルの対内投資を呼び込む」との目標を掲げたことが追い風になり(2018年11月1日記事参照)、投資額は5年ぶりに700億ランドを超えた。また、6月に国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した「世界貿易投資報告2019」によると、2018年に南アはアフリカでエジプトに次いで2番目の投資受け入れ国となった(2019年6月24日記事参照)。

表1 南アフリカ共和国の対内・対外直接投資額<国際収支ベース、ネット、フロー・残高>

南アへの直接投資額(2017年末残高)を国別に見ると、旧宗主国の英国(構成比27.0%)とオランダ(18.0%)が前年に引き続き1、2位を占めたが、いずれも前年比2桁減となった(表2参照)。他方、ベルギーは前年比約45倍となり、構成比14.8%で3位に急浮上した。ベルギーのビール製造世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブが2016年末に、南ア発祥でヨハネスブルク証券取引所にも上場していた英ビール製造大手SABミラーを買収した影響とみられる(2016年11月21日記事参照)。国別投資額で6位の中国も前年比15.7%増、7位の日本も3.5%増となった。日本の財務省の統計によると、2018年の日本のアフリカ向け投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比3.4%減で1,746億円だったが、構成比で約8割を占める南ア向け投資は前年比16.5%増の1,386億円となった。

表2 南アの国・地域別対内直接投資(累計)

一方、南アの対外直接投資額(2017年末残高)も、前年比41.9%増と大幅に増加した(表3参照)。国別に見ると、構成比約6割の中国向け投資が前年比89.4%増となり、2位の英国(構成比11.5%)を大きく引き放した。南アと2国間投資・租税協定を結び迂回投資先としても活用されているモーリシャスは前年と変わらず3位(4.1%)だった。前年4位だったオランダは前年比71.3%減で9位に後退した。

表3 南アの国・地域別対外直接投資(累計)

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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