車椅子に対する製品マーキング試験を実施、ミネラルウオーター・飲料水も検討

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年08月30日

ロシアでは、不正流通品対策に向けた製品流通経路の把握措置の導入や、導入に向けた試験の実施が立て続けに行われているが(2019年7月17日記事参照)、連邦政府は8月14日、身体障害者用や病人用の車椅子への製品マーキング貼付試験を2019年9月1日~2021年6月1日の間に実施する連邦政府決定(2019年8月7日付第1028号)を採択したと発表した。

本連邦政府決定は、2017年12月5日のプーチン大統領と障害者、障害者支援団体代表との会合結果を受け、リハビリ機器の質の向上とリハビリ関連産業の発展に関する大統領指示(2019年1月13日付Pr-50号)に基づき、工業商務省が策定したもの。試験目的を、車椅子のマーキングシステムの課題の研究、流通モニタリング、管理監督活動を行う国家機関と車椅子を扱う事業者の相互連携体制の構築のためとしている。

試験は2段階で行われ、第1段階は手動車椅子(HS 871310)を対象に2020年12月1日を期限として、第2段階は電動車椅子(HS 871390)を2021年6月1日までを期限として実施する。事業者側の参加者はメーカー、輸入者、その他流通関係者とされているが、試験への参加は任意としている。

加えて、工業商務省は8月27日、ミネラルウオーター・飲料水に対する製品マーキング貼付試験の実施に向けた連邦政府決定案を公表した。試験目的は、液体の成分情報を試験する技術、マーキングメカニズムの完全性と十分性の確認、情報システムの効果検証としている。実施期間は2019年10月1日から2020年9月30日まで。

ミネラルウオーター・飲料水への製品マーキングは、ハイテク製品の開発・生産・輸出を手掛ける国家コーポレーション「ロステフ」のセルゲイ・チェメゾフ総裁が7月22日にプーチン大統領に対して行った年次報告の中で、これらの製品市場に占める模倣品の比率が、ロシア全土で平均して25~30%程度、地域によっては80%に上ると指摘したことを受けたもの。他方、ノンアルコール飲料製造者連盟は、そもそも模倣品の流通量は少なく、また、現制度では模倣品を10%程度しか排除できないため、製品マーキングは過剰な措置だと反対している(「コメルサント」紙7月22日)。

そのほか、連邦税関局は7月30日に、製品マーキング識別手段の貼り付けが義務付けられている毛皮製品について、通関までに識別手段が貼り付けられていない場合の、ロシア国内の保税蔵置場や保税倉庫での貼付作業手続き、および、外国での識別手段貼り付けに必要な手続きについて通知を出している。

(齋藤寛)

(ロシア)

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