ハンガリーの日系企業の給与は前年比10%超の上昇
(ハンガリー)
ブダペスト発
2019年08月29日
ハンガリーで賃金が上昇している。ハンガリーの2018年の賃金(名目、グロス)は2015年比で32.7%上昇しており(図参照)、これは中・東欧ではルーマニアに次いで2番目に大きい伸びだ。EU加盟国の中でも最も失業率(2019年見込み)が低い国の1つであるハンガリーでビジネスを行う企業にとっては、労働力の確保がますます困難になっている。
ジェトロでは、ハンガリー進出日系企業に対し、賃金や人材確保の状況についてアンケート調査を実施(調査期間:2019年5月24日~7月5日)、34社から回答を得た。
本調査によると、賃金の平均上昇率は前年比で10.2%となった。 上昇率は製造業(9.3%)よりも非製造業の方が高く、11.1%となった。従業員300人以上の製造業の役職ごとの平均賃金(月給)をみると、中間管理職が107万フォリント(約39万円、1フォリント=約0.36円)、技術者が55万フォリント、営業が54万フォリント、事務員が46万フォリント、ワーカー(一般工)が27万フォリントだった。
賞与については、8割強の企業が支給しており、平均支給月数は非製造業で1.6カ月分、製造業で1.7カ月分となっている。
また本調査では、企業が従業員に対してどのような補助金を支給しているかも明らかになった。通勤補助(58.8%)、セーチェーニカード(注)の支給(55.9%)、社員食堂の整備(29.4%)などが上位だった。
回答企業のうち4割の企業では、空きポストへの新たな従業員の紹介に対する報奨制度があり、非製造業では5万フォリントから17万5,000フォリント、製造業では2万フォリントから20万フォリントが支給される。
労働力不足に対応するため、近隣諸国からの人材確保に取り組む企業もみられる。ウクライナ、スロバキア、ルーマニアなど、失業率がハンガリーよりも高い国が確保先として挙げられた。
(注)宿泊施設やレストラン、娯楽施設などで使える電子バウチャー。経営者から、従業員に対する付加給付目的で取得が可能。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー)
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