広東省、上半期のGRP成長率は6.5%、製造業が大きく鈍化

(中国)

広州発

2019年08月05日

広東省統計局の7月22日の発表によると、2019年上半期の広東省の域内総生産額(GRP)の成長率は6.5%、総額は5兆501億1,700万元(約80兆8,019億円、1元=約16円)だった(図参照)。成長率は前年同期から0.6ポイント下落し、全国平均を0.2ポイント上回った。

産業別の成長率は第一次産業が3.6%、第二次産業が4.9%、第三次産業が8.0%だった。第二次産業は前年同期から1.1ポイント低下し、製造業の成長鈍化が顕著だ。

図 広東省のGRP成長率〔前年(同期)比〕

主要産業の固定資産投資が減少

項目別では、固定資産投資は前年同期比10.5%増、うち不動産開発投資は12.4%増、インフラ投資は24.3%増だった(表参照)。

プロジェクト投資(注1)を見ると、投資主体別(1~5月)では民間投資は前年同期比9.5%減と大幅に落ち込んだ一方、国有経済(注2)による投資は23.0%増となった。業種別(1~5月)では製造業全体は7.5%減、うち設備製造業が4.4%減、コンピュータ・事務機器製造業が20.5%減、紡織・服飾が9.1%減、家具製造業が21.0%減、建築材料が19.0%減、家電製造業が26.9%減と、広東省の主要業種の多くが減少した。一方、情報通信・ソフトウエア・通信技術サービス業は23.6%増、金融業は86.5%増と大幅に増加している。

6月の自動車販売は大幅増加

社会消費品小売総額は前年同期比7.7%増の2兆680億4,100万元だった。商品小売額が7.5%増、飲食業収入が9.0%増だった。一定規模以上(注3)の小売企業についてみると、自動車関連が23.7%増となり、2019年第1四半期(1~3月)の7.7%減と比べ大幅に増加した。7月からの「国6」排ガス規制(2017年4月17日記事参照)の実施を控えた6月に、「国5」排ガス規制適応車在庫の販売促進が行われたことなどが要因となっている。

貿易額は前年同期比1.3%増の3兆2,806億8,000万元だった。うち輸出が3.9%増の1兆9,792億9,000万元、輸入が2.5%減の1兆3,013億9,000万元だった。対米貿易については、税関統計によると、広東省の貿易総額の1割強を占める広州市は、輸出・輸入ともに21.2%減、約4割を占める深セン市は、輸出(1~5月)が0.8%減、輸入(同)が5.2%減となった。

一定規模以上の工業企業の付加価値増加額は4.8%増の1兆5,429億300万元だった。

表 広東省の2019年1~6月の主要経済指標

広東省統計局の楊新洪局長は2019年上半期の経済状況について(1)第一次~第三次産業がいずれも安定して発展、(2)投資、消費、貿易が回復、(3)就業率や物価上昇率などが安定、(4)現代サービス業や先端製造業、ハイテク製造業の比率が上昇しているとし、「全体として安定し、安定の中で発展している」との認識を示した。

(注1)固定資産投資のうち不動産開発企業による投資を除いたもの。

(注2)資産が国に帰属するもの。

(注3)主要業務収入が2,000万元以上の卸売業、500万元以上の小売業の法人、主要業務収入が2,000万元以上の工業企業法人など。

(河野円洋)

(中国)

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