ジョコ大統領が施政方針演説、カリマンタン島への首都移転を発表

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年08月22日

ジョコ・ウィドド大統領は8月16日、大統領選挙後初めてとなる施政方針演説を行った。演説の中で4月に閣議決定した首都移転について、カリマンタン島への移転を行うことを表明し、国民への理解を求めた。また、第4次産業革命の時代において、インドネシアの建国五原則(パンチャシラ)の精神を保持しつつ、開放的かつ国際競争力のある国を目指すことや、そのために人材育成を通じた工業化が重要なことを強調した。

ジョコ大統領が首都移転先をカリマンタン島とすること発表したのは初めてで、国民への理解を求めた。同島内の具体的な移転先は明らかにしなかったが、大統領は5月に東カリマンタンのブキット・スハルト、中部カリマンタンのグヌン・マスを候補地として視察済みだ。首都移転については4月に閣議決定(2019年5月6日記事参照)を終え、今後は国会での承認などを受ける必要がある。

施政方針では人材育成を強調

施政方針演説の内容は、人材育成に関する内容がその多くを占めた。特に、第4次産業革命の時代に必要なスキルの重要性を前面に打ち出した(表参照)。また、工業化への方向性として、パーム油を原料としたバイオディーゼル燃料の導入推進や、電気自動車の国内生産の振興について述べた。一方で、個人情報などのデータ管理についても触れ、サイバー攻撃などへの対応や国民の個人情報管理の強化について言及した。

「コンパス」紙によると、今回の演説では「人材」という言葉の使用回数が14回で、前年の演説の3倍超となる一方、「経済」の使用回数は前年の6分の1の4回にとどまった。今回の演説が、次期政権の公約に掲げる人材育成を中心にした構成であることが分かる。

表 施政方針演説のポイント

(山城武伸)

(インドネシア)

ビジネス短信 013928e97e060cb2