2018年のエジプト対内直接投資は前年より減少も、アフリカ内で最大

(エジプト)

カイロ発

2019年07月31日

エジプトのモスタファ・マドゥーリー首相とサハル・ナスル投資・国際協力相は7月23日にカイロで、国連貿易開発会議(UNCTAD)のジェームス・ジャン投資・企業局長と会談した。ジャン局長は「2018年は世界の対内直接投資が前年より減少したが、多国籍企業がアフリカでの活動を拡大させており、アフリカは前年比約11%増の約460億ドルに達し、2019年もアフリカへの投資が続いている」と述べた。さらに、「2018年のエジプトの対内直接投資は前年比8.2%減の68億ドルとなったものの、2017年に引き続きアフリカ最大の投資先だった。エジプトはEU、アフリカ、アラブ諸国と貿易や投資で強いつながりを保っており、投資を受け入れるチャンスが増えている」とコメントした。

ジャン局長も編集に携わったUNCTADの「世界投資報告2019」によると、2018年の対内直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は、世界全体で前年比13.4%減、先進国は26.7%減、新興・途上国は0.3%増だった中で、アフリカは3年ぶりに増加し10.9%増となった(2019年6月14日記事参照)。アフリカを国別にみると、エジプトが首位で、南アフリカ共和国が53億ドル、モロッコが36億ドルと続いた(2019年6月24日記事参照)。

エジプト中央銀行によると、2018年のエジプトへの対内直接投資の流入額は前年比5.3%増加したが、流出額も24.9%増加したため、ネットでは8.2%減となった(表参照)。地中海沖のガス田などの開発が活発になっており、石油・ガス分野への投資が67.3%を占め、製造業10%、建設業4.5%だった。流入額を国別にみると、英国が48億5,000万ドルで首位となり、以下、米国(22億9,000万ドル)、ベルギー(22億4,000万ドル)、アラブ首長国連邦(7億9,000万ドル)、オランダ(4億3,000万ドル)の順だった。地域別では、EU諸国からの投資が62%を占め、アラブ諸国が12%となった。日本は、2017年は1億8,400万ドルで7位だったが、2018年は4,200万ドルに減少し、上位10位内に入らなかった。

表 エジプトの国・地域別対内直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)

(井澤壌士)

(エジプト)

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