ウズベキスタン、個人情報保護法を制定

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年07月11日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は7月2日、共和国法第547号「個人データについて」に署名した。法律の施行は10月1日から。以後は、個人情報の第三者への譲渡や公開を行う場合は本人の同意が必要で、データ保有者は個人データの保管を適正に行う義務と使用後にデータを消去する義務を負う。7月8日には、悪質な違反に対し最大で3年の懲役刑を科す関連法の改正が行われた。

この法律は全36条で構成。個人データを「電磁的・文書的・その他物質的方法で特定の自然人を特定、もしくは特定する可能性を与えるもの」とし、個人データの保有者を「データにつき所有・利用・指示する権利を有する政府機関、自然人、法人」と定義(第4条)。個人データ保護を所掌する政府機関に「閣僚会議付属国家個人化(Personalization)センター」を指名し、同分野の政策立案から執行までの広範な権限を付与した(第8条)。

個人データの利用に関しては、データ収集時に通知した目的にのみ可能で(第12条)、その利用目的が達成された場合や、本人の合意が取り消された場合、合意したデータ加工期間が終了した場合には、保有者、オペレーター(データ加工を実施する自然人、法人もしくは政府機関)、その他第三者は当該個人データを消去する義務を負う(第17条)。また、本人の合意なしの個人データを公開もしくは譲渡はできない(第28条)。個人データの対象である自然人は自身の個人情報の法的利益と権利保護に関し、所管官庁(国家個人化センター)、裁判所に救済を求めることができる(第30条)。保有者とオペレーターには個人情報を保護するため必要不可欠な権利的・組織的・技術的手段をとることが義務付けられ(第31条)、法令に違反した個人・法人は責任を負うとしている(第33条)。

また7月8日には、個人情報の違法な収集、保管、改造、追加、使用、提供、配布、譲渡、破壊などに対して、最長で3年の禁錮・懲役を科す行政責任法典、刑法典の改正が行われた(共和国法第548号、施行は法律第547号と同じく10月1日から)。

ウズベキスタンでは、憲法の規定で国民は私的生活の不可侵が認められている(憲法第27条)が、個人情報保護に関する法体系は脆弱(ぜいじゃく)だった。今回の法律制定により、個人情報保護の概括的な規範設定と「国家個人化センター」の機能が明確化された。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

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