第2四半期GDP成長率は前年同期比0.1%、10年ぶりの低成長

(シンガポール)

シンガポール発

2019年07月26日

シンガポール貿易産業省(MTI)は7月12日、シンガポールの2019年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)は、前年同期比0.1%と発表した。この水準は2009年第2四半期(マイナス1.5%)以来の低さで、過去10年で最も低い成長率となった。前期比でもマイナス3.4%と、2019年第1四半期(1~3月)の3.8%から7.2ポイント下落した。

産業別にみると、製造業は前年同期比3.8%減で、前期の0.4%減から3.4ポイント低下した。エレクトロニクスや精密工学製品が下落し、製造業全体を引き下げたことが要因だ。他方、建設業は、公共投資が成長を下支えし、2.2%となった。前期(2.7%)と比較すると、成長幅は縮小したものの堅調だった。サービス業は、1.2%だった(前期と同値)。金融保険、情報通信、その他(教育、ヘルスケア、娯楽など)に支えられた。

表 シンガポールの実質GDP成長率の推移(2019年7月12日発表)

ヘン・スイキャット副首相兼財務相は7月12日、自身のフェイスブックで、第2四半期の実質GDP成長率について「米中貿易戦争などによる世界経済の不確実性やリスクの高まりを反映している」とした。しかし現時点で、景気後退は予測しておらず、情報通信、建設が堅調に推移していることを指摘した。その上で、「短期的な課題への対処をしつつ、中長期的な施策にも継続して取り組んでいく必要があり、政府として状況を注視していく」とコメントした。

チャン・チュンシン貿易相も7月11日、自身のフェイスブックで、シンガポールの貿易額はGDPの3倍規模で、世界的な投資環境やサプライチェーンにより影響を受けやすいとしながらも、過去の世界的な金融危機とは異なるとした。

MTIによる2019年通年の実質GDP成長率の予測は、5月に「前年比1.5~2.5%」へ下方修正された(2019年5月28日記事参照)。また、IMFは7月15日、シンガポールの同年の経済成長率見通しについて、それまでの2.3%から2.0%に下方修正した。

(南原将志)

(シンガポール)

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