香港政府トップの世論支持、過去最低レベル

(香港)

香港発

2019年07月19日

香港民意研究所(注1)は7月16日、香港政府幹部の支持に関する世論調査結果(注2)を発表した。

今回の調査は、7月2日から7月8日の間に実施された。実施期間直前の7月1日には、逃亡犯条例改正案(注3)に反対するデモ隊による、立法会(日本の国会に相当)占拠事案が発生しており、特に香港政府トップの行政長官や同条例改正案を所管する法務長官の支持は低くなっている。

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の支持度(得点)は33.4点(前回調査時32.8点)、支持率26%(23%)、不支持率66%(68%)だった。香港民意研究所は、歴代行政長官の中で最も低い数字を記録した前回調査から多少良くなっているものの、数字の変化は誤差の範囲内としている。

テレサ・チェン法務長官の支持度は21.6点、支持率は10%、不支持率は68%となり、いずれも就任後最低の数字で、政府高官の中でも最低の数字となった。

7月16日付「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙によると、2003年、国家安全条例案(注4)に反対する50万人規模のデモが発生した際の董建華元行政長官の支持度は36.2点、キャリー・ラム行政長官の前任である梁振英(C・Y・リョン)前行政長官の最低支持度は37点だったので、キャリー・ラム行政長官は1997年の香港返還以降、最も支持度の低い行政長官となっている。

(注1)前身は、香港大学民意研究計画(略称:港大民研)。港大民研が実施してきた世論調査を香港民意研究所が引き継ぎ実施。今回の調査は、引き継ぎ後の第1回となる。

(注2)支持度(得点)は、100点が絶対的支持、0点が絶対的不支持、50点が可もなく不可もないことを示す。明日、行政長官選挙が行われたとして、投票すると答えた割合を支持率、投票しないと答えた割合を不支持率としている。世論調査結果の全文(中国語のみ)は、香港民意研究所ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで閲覧が可能。

(注3)香港で拘束した犯罪容疑者(香港以外の国・地域で犯罪に関わったもの)を中国本土に引き渡すことを可能とする条例の改正案。

(注4)政権転覆や国家分裂といった反体制行為を禁じる、香港基本法23条を具体化するための条例案。

(渕田裕介)

(香港)

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