ウズベキスタン、財政と政府予算の情報公開進む

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年07月23日

ウズベキスタン財務省は7月12日、国民向けの財政・政府予算の説明書「国民のための予算・2019年政府予算」を発表した(注1)。ウズベキスタン政府は国際金融機関と中期的な政府財政管理の改革に取り組んでおり、同説明書の作成・発表は政府財政・予算の透明化、財政規律の保持に向けた市民参加、外国投資家の信頼向上などに向けたツールとして位置付けられている。今回の説明書の発表は、2018年に続き2回目となる。

この説明書は、国連開発計画(UNDP)と共同で作成された。項目は、(1)中期的予算指標(2021年までの主要経済指標を含む)、(2)法人・個人税制の変更、(3)政府予算〔収入・支出、財政赤字とその補填(ほてん)方法、政府債務、中央から地方への税収移転〕(4)持続的発展に向けた目標、(5)政府財政運営システムに対する国際的な評価、に分かれる。2018年版と比較して、イラストを多用し分かりやすく表示、多くの数字や事業対象名(改修予定の保育園名など)を具体的に提示しており、内容は格段に改善された。また今回から、ウズベク語、ロシア語版PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に加え、英語版PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が作成されている。

2019年の政府予算収支について、連結ベースの政府財政赤字額は2019年でGDP比1.8%となる7兆8,000億スム(約1,014億円、1スム=約0.013円)で、うち政府収支単体の赤字は4兆5,000億スム。そのうちの3兆5,000万スムは世界銀行、アジア開発銀行、フランス開発庁の融資で補填し、残り1兆スムはスム建て国債の発行で賄う(注2)。

政府が抱える債務は、2019年1月1日時点でGDP比29.4%となる148億ドル、うち対外債務は100億ドルだ。債権者(国)別では、アジア開発銀行(31億ドル、シェア30.9%)、世界銀行(19億ドル、19.0%)、中国政府(21億ドル、20.8%)、日本政府(15億ドル、14.9%)と続く。ウズベキスタンは2019年2月に10億ドルのユーロ債を起債しており(2019年2月20日記事参照)、その用途についても明記されている。

シャフカト・ミルジヨエフ大統領は2018年8月22日、大統領決定第3917号「予算過程での市民の積極的参加と予算情報の公開性向上に関する措置について」に署名。説明書の作成を財務省に命じたほか、国際公会計基準(IPSAS)の導入やPEFA(注3)を用いた政府支出への評価実施などを指示した。財務省は世界銀行、IMFなどと協力し「財政運営システムの将来的な完成に向けた戦略」の作成作業を行っている。財務省は「税・財政の透明性に関する国際的な評価を実施しているのは、中央アジア5カ国で唯一、ウズベキスタンのみ」としている。

(注1)2018年12月に同説明書の案が公開され、今回、正式版の発表となった。詳細な数値などが追加されている。

(注2)連結ベースによる政府予算の赤字分3兆3,000億スムは、年金基金の残予算があてがわれる。

(注3)Public Expenditure and Financial Accountability(公共支出・財政の信任結果責任)の略。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

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