米ロサンゼルス港湾局、対中関税賦課を懸念するコメントレター

(米国)

ロサンゼルス発

2019年06月26日

ロサンゼルス港湾局は6月17日、通商法301条に基づき検討されている中国製品(リスト4)への追加関税(2019年5月14日記事参照)に関し、ロバート・ライトハイザー米国通商代表部(USTR)代表にコメントレターを提出した。関税は消費者物価上昇や米国企業の収益低下、海上サプライチェーンの不確実性などにつながると懸念を示した。

全米最大のコンテナ貨物取扱量を持つ同港湾局のユジーン・セロカ局長からライトハイザー代表に宛てたコメントレター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、不公平な貿易慣行への対応と外国市場への公平・平等なアクセス創出に向けた取り組みに理解を示す一方、対中関税が消費者物価の上昇、米国企業の収益性の低下、海上サプライチェーンの不確実性のほか、貿易ルートの変更による港湾や貿易玄関口としての地域への損失など、意図しない影響を招くことを指摘した。

また、ロサンゼルス港湾(Port of LA)と隣接するロングビーチ港湾(Port of LB)を合わせると、米国の対中輸入コンテナ貨物の約40%、対中輸出コンテナ貨物の約30%を取り扱っており、これらの貿易が国内経済に3,100億ドルの影響があることや、約300万人の雇用を支えていることに言及した。輸入に関しては、同港湾の分析によると、現在提案されている追加関税も含めると、対中追加関税により両港湾(LA、LB)から輸入される貨物の66%(金額ベース)に影響が生じ、1,300億ドル相当の輸入品がコスト増にさらされるとした。

さらに、2018年後半から2019年初めにかけて第3弾の追加関税率が10%から25%に上昇する恐れが生じた際、小売業者や製造業者が前倒し輸入を行って在庫を抱える動きが出たことに触れ(2019年1月30日記事参照)、その結果、地域の倉庫や配送センターが逼迫し、港湾運営の課題となったことも指摘した。

ロサンゼルス港湾(Port of LA)とロングビーチ港湾(Port of LB)では、例年夏から年末にかけて貨物量がピークを迎えるため(図1、2参照)、関税が今後の港湾およびその周辺にどのように影響するのか注目されている。

図1 貨物取扱量の推移(2016年6月~2019年5月)
図2 実入りコンテナ貨物輸入量の推移(2016年7月~2019年6月)

(北條隆)

(米国)

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