カカオ豆需給バランス予測、供給余剰を維持
(コートジボワール、アフリカ)
アビジャン発
2019年06月14日
コートジボワールに本部を置く国際カカオ機関(ICCO)は5月31日、2018/2019年度(2018年10月~2019年9月)のカカオ豆需給予測を公表した。2月の発表では、世界の需給バランスを3万9,000トンの供給余剰と予測していたが、アジアや米州地域を中心に磨砕量が拡大傾向にあり、カカオ豆需要が世界的に堅調なことから、3万6,000トンに下方修正した。
世界の生産量は、483万トンと前年度比3.9%増加する見通しだ。最大の生産国であるコートジボワールは220万トン(2.3%増)で豊作が見込まれ、全体を押し上げた。アフリカ全体では、世界生産量の8割弱に相当する370万トンに達する見通しだ。しかし、西アフリカは4月以降、主要産地での少雨が確認されており、これがミッドクロップ(4~9月、雨期)の生産に悪影響を及ぼすことも懸念される。特に、世界2位の生産国であるガーナでは、カカオ・スウォーレン・シュート・ウイルス(CSSV)と悪天候の影響で、生産量は85万トンと前年同期比6%減少するとみられる。なお、2大生産国のコートジボワールとガーナは今後、カカオ豆の価格安定化に向け生産・価格調整メカニズムを導入し、カカオ商業化政策の調和を図っていく方針だ。
世界の磨砕量は、475万トンと前年度比3.4%増の予測だ。カカオ豆先物相場が低水準に推移していることから、アジア(シェア:23%)と米州(19%)の磨砕量がそれぞれ6%、4%増加する見通しだ。また、欧州(37%)とアフリカ(21%)もそれぞれ2%前後の増加が見込まれる。なお、国別カカオ豆磨砕量では、コートジボワールが約60万トンで、2016年にオランダを抜き世界最大となった。なお、世界在庫量は、175万7,000トンと1.8%増加する見通しだ。
国際市況は、生産が増加する見通しから、供給余剰感が広がり、2018/2019年度も弱含みに推移している。同年度の収穫需給バランス予測がおおよそ確定したことから、7月以降の相場は2019/2020年度の生産量予測によって変動するとみられる。
(渡辺久美子)
(コートジボワール、アフリカ)
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