第1四半期は政府部門が経済成長を押し下げ

(メキシコ)

メキシコ発

2019年06月24日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)は6月21日、需要・供給項目別の2019年第1四半期(1~3月)の国民経済統計を発表した。実質GDP成長率は前年同期比1.2%だが、聖週間(セマナサンタ)の休日(2018年は3月、2019年は4月)による労働日数の違いを調整すると、0.2%にとどまる(2019年5月30日記事参照)。労働日数調整済みのデータを用いて低成長の要因を需要項目別にみると、民間消費は前年同期比0.2%増、輸出は1.2%増とプラスを維持したが、政府消費は1.3%減、公的総固定資本形成(公的部門の投資)は10.6%減となり、それぞれ0.15ポイント、0.31ポイントGDP成長率を押し下げた(表1参照)。また、現政権下で企業家の投資意欲が低迷している(2019年4月9日記事参照)こともあり、民間総固定資本形成も1.9%減と低迷した。

表1 需要・供給項目別成長率(労働日数調整済み前年同期比)

季節調整済み前期比で需要項目別成長率をみると、民間消費は0.24%増とプラスを維持しているが、輸出は0.17%減と2018年第3四半期(7~9月)以降、頭打ちの状況が続いている(表2参照)。政府消費も0.27%減と3四半期連続の前期比マイナスとなり、公的総固定資本形成は前期比では0.84%のプラスだが、これは2018年第4四半期(10~12月)の7.22%の大幅減の反動といえ、低水準で推移しているのは間違いない。民間総固定資本形成も前期比ではプラスだが、前3四半期の大きな落ち込みが影響している。

表2 需要・供給項目別成長率(季節調整済み前期比)

季節調整済みのデータを用い、2008年第1四半期を100として指数化した各項目の近年の動向をみると、輸出は3四半期連続で低下しているものの、2019年第1四半期は164.0と依然として高い水準にある。民間消費も近年の伸びは緩慢ながら、119.7の水準で推移している(添付資料参照)。経済成長の足かせとなっているのは公的総固定資本形成で、62.8と非常に低い水準にある。エンリケ・ペニャ・ニエト前政権の新自由主義的経済を否定し、経済成長における国の役割を主張して当選したアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領だが、現在のところ期待されていたような成果を経済面で出せていない。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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