仏政府、FCAのルノーとの統合案撤回に対し声明発表

(フランス)

パリ発

2019年06月07日

欧米自動車大手フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)の取締役会が6月5日、フランスのルノー・グループに提示した統合案を即時撤回する決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを下したことを受け、同国のブリュノ・ルメール経済・財務相は6月6日、声明文を発表した。

FCAが統合案撤回の理由として「フランスにおける政治的条件により、現在この統合を実現できる状況にない」ことを挙げたことに対し、ルメール氏は「ルノーに15.01%出資するフランス政府は、当初から統合案を歓迎し、当事者と建設的な話し合いをしてきた」とする。その上で、フランス政府は両社の統合を承認するための条件として「ルノー・日産アライアンスの枠内での統合」「フランスにおける製造拠点、雇用の維持」「ルノーとFCA間のバランスを尊重した企業統治」「統合後、ドイツと共に主導する次世代電池供給(2019年5月8日記事参照)への参画」の4項目を提示したことを明らかにした。

またルメール氏は「これら条件の3つの項目で合意を得ていたが、日産自動車の明確な支持を得ることだけが残されていた。政府は(日産を含む)当事者全員の支持を確認するため、取締役会に5日間の猶予期間を設けるよう求めた」と説明した。

6月6日の「ル・フィガロ」紙(電子版)は、経済大臣官房がニュース専門放送局「フランス・アンフォ」に対し、「ブリュノ・ルメール大臣はG20閣僚会合(6月8~9日)に伴い訪日する機会に、日産の経営陣と会って(統合への)支持を取り付けようとした。それより前に、FCAが統合をせき立て統合案を撤回したことは理解に苦しむ」と述べたことを報じている。

フランス政府は、FCAが5月26日にルノーに統合案を提示してから、両社の統合を自動車分野での欧州チャンピオンをつくる機会と捉え、前向きに検討してきた。ルメール氏は5月28日、ラジオ局RTLのインタビューで「ルノー・FCAの統合案はルノーと欧州自動車業界にとり素晴らしい機会だ。統合は、将来の雇用の確保と、(自動運転、バッテリーといった)技術革新に対応するための投資を可能にする」と歓迎の意を示していた。

(山崎あき)

(フランス)

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