第1四半期のGDP成長率は前年同期比0.5%

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年06月13日

ブラジル地理統計院(IBGE)は5月30日、2019年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前年同期比0.5%と発表した(表参照)。前期比(季節調整済み)では0.2%減となった。

表 四半期別と通年の実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

産業別にみると、前年同期比で農畜産業(0.1%減)と工業(1.1%減)が減少した一方、サービス業は増加(1.2%)した。農畜産業のマイナスは、天候不良および大豆、タバコ、コメの収穫量減少が響いた。工業は、1月にミナスジェライス州のブルマジーニョで鉄鉱石大手バーレの鉱滓(こうさい)ダムが決壊した影響が大きく、鉱業が3.0%減となったほか、建設業は2.2%減、製造業も1.7%減と軒並み減少した。一方、電気・ガス・上下水道・都市清掃で増加した(4.7%増)のは、ダムの貯水量が十分で第1四半期は水力発電が安定的だったことが挙げられる。サービス業では、情報サービス(3.8%増)、不動産(賃貸業を含む、3.0%増)が比較的高い成長率で押し上げ要因となり、全体で1.2%増となった。

需要要素別にみると、GDPの約6割を占める個人消費支出(1.3%増)は堅調に推移しており、ブラジル中央銀行のデータによると、比較的低水準な金利が続いたことと、個人向け貸付残高が前年同期比で10.2%増加したことが影響した。総固定資本形成は前年同期比で0.9%増となっているが、前期比で見ると1.7%減となった。5月31日付「バロール」紙によれば、企業と消費者が社会保障改革などの行方を見守るかたちになったため、と分析している。財・サービスの輸入は2.5%減となり、これは石油由来の製品や自動車、医薬品、金属製品などによるものだった。財・サービスの輸出が振るわなかったのは、ブラジルにとって重要な貿易相手国であるアルゼンチンの景気低迷などが影響した。

6月3日付「バロール」紙では、米中貿易戦争による世界経済の減速感も相まって、2019年の経済成長率は1%を切ると予測するエコノミストの考えが紹介され、あらためて社会保障改革を契機とした経済活性化の必要性が述べられている。

(古木勇生)

(ブラジル)

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