日本の対中輸出、数量ベースで減少幅が拡大

(中国)

アジア経済研究所新領域研究センター

2019年05月09日

2019年第1四半期(1~3月)の日本の対中貿易は、輸出が前年同期比減で、輸入は横ばいだった。輸出は貿易の実勢を示す数量指数の減少幅が拡大し、先行きが懸念される。対中貿易収支は通年では2017、2018年と黒字だが、四半期では2018年第4四半期に続き、2019年第1四半期も赤字となった(表1参照)。

対中輸出は数量の減少が加速

財務省の発表(4月26日)によれば、2019年第1四半期の対中輸出額は3兆4,027億円、前年同期比で7.5%減だった。価格は上昇したが(4.7%増)、数量の減少(11.8%減)が大きかった。数量は2018年第4四半期も減少(6.5%減)だったが、中国の成長鈍化に重なるかたちで減少が加速しており、先行きが懸念される(表2参照)。

2019年第1四半期の対中輸入額は4兆6,084億円で前年同期比0.2%の微増となった。価格の下落(2.7%減)を数量の増加(3.1%増)が辛うじて上回った。なお、輸入価格は2018年11月から前年同月比の下落が続いている。

対中貿易収支は2四半期連続で赤字

日中間の貿易収支は、日本も中国も自国統計では赤字だが、双方の輸入統計を突き合わせると2019年第1四半期は、日本が中国に対し3,203億円の赤字となった。日本の対中貿易収支は通年では2017、2018年と日本の黒字となったが、四半期でみれば2018年第4四半期に赤字に転じた。

日本の対中輸出と中国の対日輸入、日本の対中輸入と中国の対日輸出は、同じものを反対方向から見たにすぎないが、貿易統計上は乖離が生じる。理由としては、日本の貿易統計が円建てなのに対し中国の貿易統計はドル建て(元建ても公表)であること、日中間を財貨が移動する間に月が変わることに加え、日中間には香港経由の貿易が一定量ある中、輸出は仕向け地主義、輸入は原産地主義で集計されることが指摘できる。香港要因を考慮すると、日中双方の輸入統計から計算した貿易収支が実態に近いとみられる。

表1 日本の対中貿易の推移
表2 日本の対中貿易の推移の〔前年(同期、同月)比〕

(箱崎大)

(中国)

ビジネス短信 d6c76f15b374113a