グアイド暫定大統領率いる反対派、抗議活動するも情勢変わらず

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2019年05月07日

ベネズエラのフアン・グアイド国会議長(暫定大統領と自称)は4月30日早朝、ツイッターでニコラス・マドゥロ政権に対抗する「自由作戦」の最終段階として、市民に対し街頭に出るよう呼び掛けた。マドゥロ政権派の一部の軍関係者から、支援があったとされる。2014年に拘束され自宅軟禁となっていた、元チャカオ(カラカス首都圏)市長で大衆意志党創設者のレオポルド・ロペス氏も、グアイド議長のいるカルロタ空軍基地に姿を現した。カラカス市内では、多くの場所で抗議行動が始まった。

米国などが早速支持を表明

米国のトランプ大統領やコロンビアのイバン・ドゥケ大統領、チリのセバスティアン・ピニェラ大統領、米州機構のルイス・アルマグロ事務総長、14カ国で構成されるリマ・グループなどは早速、グアイド派に支持を表明した。米国のマイク・ポンペオ国務長官は、マドゥロ大統領がキューバに逃亡する準備をしたものの、ロシアの説得により思いとどまったと公表。ジョン・ボルトン安全保障担当大統領補佐官も同日、マドゥロ政権を支えていたマイケル・モレノ最高裁長官、ウラディミル・パドリノ・ロペス防衛相、イバン・エルナンデス大統領儀仗(ぎじょう)隊長といった側近が、マドゥロ大統領は退陣すべきだとの考えを表明していると発表した。

死者1人のほか多数の負傷者

一方、キューバのミゲル・ディアスカネル国家評議会議長やボリビアのエボ・モラレス大統領は、グアイド暫定大統領ら反対派の行動を批判した。政府側はポンペオ長官やボルトン補佐官の発言を全面的に否定し、マドゥロ大統領も「全ての軍首脳と話し、人民、憲法、国家への忠誠を確認した」とツイートした。翌5月1日も、反対派市民はグアイド議長の呼び掛けどおり街頭での抗議行動を行い、治安部隊と多くの地域で衝突した。死者1人のほか多数の負傷者が出たが、最終的には鎮圧された。マドゥロ大統領は「右派の共謀は失敗した」とし、反対派に加担した政府側の関係者を断罪する決意を表した。

マドゥロ政権は軍や治安当局を強固に統制

前日までの混乱から一転し、5月2日のカラカス首都圏は平静を保った。グアイド議長は、今後は部分スト、最終的にはゼネストなどで対抗する考えを表明した。翌3日以降も抗議行動は行われたが小規模にとどまり、情勢の変化はない。軍や治安当局の離反を期待し、過去最大規模の抗議行動が目指されていたが、マドゥロ政権の軍や治安当局に対する統制は想定以上に強固だったようだ。

(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)

(ベネズエラ)

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