脱税防止を規定した最高法令を公布、監査対象を公表

(ペルー)

リマ発

2019年05月08日

ペルー経済財政省(MEF)は5月6日、所得税法の脱税防止規定の適用方法などを明示した最高法令(大統領令)145-2019-EF号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布した。この規定は、2012年の策定以来、実際に適用されることのないまま、2014年から実質的に停止状態にあった。今後は、税務監督庁(SUNAT)の職員3人からなる査察委員会が5月末までに任命され、規定にのっとり脱税疑惑のある各種案件の監査を実行することになる。最高法令では、監査対象として7つの事例を明記しているが、抽象的な表現にとどまっているため、SUNATの裁量権に委ねられる部分が多いとみられる。

現政権はこれまで、脱税防止規定を再始動させようと試みてはきた。2018年9月には、規定適用の詳細を明示した立法令1422号を公布したが、適用範囲を2012年まで遡及(そきゅう)するとしたため、違憲との議論を呼んだ。また、法人だけでなく、法人の法的代表権者に対する責任や罰則なども新たに追記されていた。

今回の最高法令の公布は、国会における立法令1422号の見直しの討議がなされないことに業を煮やした政府による超法規的措置とも言えるだろう。

カルロス・オリバ経済財政相は、規定は2014年に一時停止措置をされただけで、常に存在したとし、査察の遡及は合憲だと主張。実際には一時停止直後の2015年までの遡及になるだろうとの補足コメントを発表している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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