3月の非石油部門の地場輸出11.7%減、2016年以来の大幅なマイナス

(シンガポール)

シンガポール発

2019年05月01日

シンガポール貿易産業省傘下の産業振興・貿易振興機関、エンタープライズ・シンガポール(ESG)が4月17日発表した2019年3月の同国の非石油部門の地場輸出額は、前年同月比11.7%減となった。前月の4.8%増から一転し、2016年10月(12%減)以来の下げ幅となった。

部門別では、非石油部門の地場輸出(自国生産による物品輸出で、再輸出を除く)で最大の割合を占めるエレクトロニクス分野が、前年同月比26.7%の大幅減となった。これは、集積回路(IC)が22.2%減、パソコン46.3%減、ディスクメディアが40.3%減と大幅に減少したことによるもの。また、非エレクトロニクス分野の地場輸出も、医薬品や専門機器、石油化学品の落ち込みにより、7.0%減となった。主要な貿易相手国・地域別にみると、米国の23.1%増に対し、日本(36.6%減)、台湾(27.4%減)、韓国(23.7%減)は大幅な落ち込みとなった。

3月の大幅減については、比較対象となる2018年3月の輸出が好調だったことによる反動減との見方もある中で、地場銀行最大手DBSのエコノミストは「長引く米中の貿易摩擦によるアジア市場への影響と、中国の継続的な景気減速が要因だ」とした。今後については、「引き続き下振れリスクはあるものの、米中貿易交渉のトンネルに終わりがみえる」と、今後に前向きな見通しを示した(「ストレーツ・タイムズ」紙4月17日)。

(南原将志)

(シンガポール)

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