エアバスが地元高校生向け職業訓練プログラム導入、狙いは人材確保

(米国)

アトランタ発

2019年05月10日

欧州の航空機メーカー・エアバスはアラバマ州のケイ・アイビー知事とともに5月8日、同州モービルにある旅客機製造工場で地元高校生向け職業訓練プログラムを導入すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表されたプログラムは、「フライトパス9」および「ファストトラック」だ。「フライトパス9」は、エアバスとアラバマ州の提携により設立された人材開発育成機関のフライトワークスアラバマが運営する9カ月間の職業訓練プログラムで、2020年6月時点で18歳以上になる高校生を対象にしている。受講生は週に2回、放課後を利用してプログラムに参加し、社会人として働くために必要なソフトスキル(チームの一員として働くための規律の順守など)をまず身に付ける。

「フライトパス9」を修了した受講生は高校卒業後、2つ目のプログラム「ファストトラック」に参加することができる。このプログラムは、エアバスが自社で行う12~15週間の職業訓練プログラムで、受講生は実際にエアバスに有給で雇用され、航空機の製造やメンテナンスに必要な知識や技術を一から学ぶことができる。

プログラムの運営コストはエアバスが負担し、受講生は無料でプログラムに参加することができる。既に地元の11の高校から書類審査および面接を経た25人の高校生が、「フライトパス9」の第1期生として選出されている。2つのプログラムを修了した受講生について、エアバスは正式に採用選考を行う。

エアバスは、アラバマ州モービルの工場で2015年からA320型機を製造しているほか、現在、A220型機の製造ラインを2億6,400万ドル投じて建設中で、2019年中に稼働を予定している。400人超の人員を雇用予定で、人材確保が重要な課題だ。地域の航空産業を支える大手企業として、地元の若者を教育し採用につなげるため今回のプログラムの導入に至った。

アイビー知事はプログラム発表の場で、これら2つのプログラムによって、エアバスが人材を確保できるだけではなく、それ以上にアラバマ州の若者の人材開発の活性化、航空産業の発展につながることとなる、と述べた。

(西田由喜枝)

(米国)

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