4月の失業率は3.6%、49年4カ月ぶりの低水準

(米国)

ニューヨーク発

2019年05月14日

米国労働省が5月3日に発表した2019年4月の失業率は3.6%と、市場予想(3.8%)を下回り、1969年12月(3.5%)以来、49年4カ月ぶりの低水準となった(表1参照)。就業者数が前月から10万3,000人減少し、失業者数も38万7,000人減少した結果、失業率は前月(3.8%)から0.2ポイント低下した。2019年3月の米国連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)で示された委員メンバーによる予測中央値は3.7%とされていたが、これを下回った。

適当な仕事が見つからずに職探しを断念した者や不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的理由によるパートタイム就業者)などを含めた広義の失業率(U6)をみると、前月と同じ7.3%となり、3カ月連続で2001年3月(7.3%)以来の低水準となった。

一方で、労働参加率(注)は62.8%と、前月(63.0%)から0.2ポイント低下した。

表1 米国の雇用統計(4月速報)

雇用者数の前月差はサービス業を中心に拡大

4月の非農業部門の雇用者数の前月差は26万3,000人増で、前月(18万9,000人増)と比べて増加幅が拡大した。なお、2月は3万3,000人増から5万6,000人増へと上方修正され、3月は19万6,000人増から18万9,000人増へと下方修正された結果、2月と3月の2カ月合計の増加幅は1万6,000人の上方修正となった。3月から4月への雇用増加の内訳を主要業種別にみると、対事業所サービス業や建設業を中心に増加した(表2参照)。

表2 主要業種別雇用増加数(前月差)の内訳(4月速報)

こうした中、平均時給は27.77ドル(3月:27.71ドル)で、前月比0.2%増(3月:0.2%増)、前年同月比3.2%増(3月:3.2%増)となった。ドイツ銀行チーフエコノミストのトルステン・スロック氏は「(今回の雇用統計は)米国経済が非常に順調に進んでいることを明確に示しており、賃金が上昇したという意味でインフレ状態ともいえるが、期待したほどの上昇とはなっていない」と述べた(ブルームバーグ5月3日)。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(権田直)

(米国)

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