サンフランシスコ、小売店などに現金支払い受け入れを義務化

(米国)

サンフランシスコ発

2019年05月17日

サンフランシスコ市議会は5月7日、サンフランシスコ市内に立地する小売店等に現金払いの受け付けを義務付け、キャッシュレス会計のみでの営業を禁止する条例案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを投票により全会一致で可決した。対象となるのは、実店舗を持つ企業で飲食店も含まれる。一時的に店を開くポップアップ・ストアや、フードトラック、オンラインショップやインターネットのみで営業する企業は含まれない。同条例案は現在、ロンドン・ブリード市長の署名待ちで、署名から90日後に施行される。

米国の都市部では現在、現金を持たずに買い物ができるキャッシュレスの店舗が広がりをみせる一方で、銀行口座やクレジットカードを持たない人を排除しているとして、キャッシュレス会計のみを採用する企業への批判が高まっている。フィラデルフィア市(ペンシルベニア州)とニュージャージー州でも2019年、同様の条例・州法が可決され、ニューヨーク市では同様の条例が提案されている(注1)。アマゾンはこのような動きを受け、ニューヨーク市内に5月7日に開店したアマゾン・ゴー(注2)の新店舗で、現金会計を初めて導入した。サンフランシスコでは、市内中心部にアマゾン・ゴー3店舗目が4月にオープンしたばかりで、今後、これら店舗も対応が迫られることになる。

(注1)マサチューセッツ州では、1978年に現金支払いを受け付けることを小売業に義務付ける法令を制定している。

(注2)クレジットカードとプライムメンバーのアカウントをひもづけたアプリ上で会計されるため、会計に並ぶことなく商品を取ってそのまま店を出ることができるアマゾンの実店舗。食品や日用品を扱う(2019年5月16日記事参照)。

(田中三保子)

(米国)

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