脱化石燃料を盛り込んだ政府春予算案を発表

(スウェーデン)

ロンドン発

2019年04月26日

スウェーデンのマグダレーナ・アンデション財務相は4月10日、政府の春予算案を発表した。春予算案は2019年の補正予算案と、今後の中期的な経済政策を示す春季財政政策法案で構成される。2018年9月の総選挙から4カ月間も首相が決まらなかった政治的混乱(2019年1月23日記事参照)により、2019年は野党の穏健党とキリスト民主党による予算案に基づいて政権運営される(2018年12月28日記事参照)ことになっている。今回の補正予算案は前述の予算案を反映しつつ「政府による精一杯の巻き返し補正予算」となった。

産業振興・福祉充実・環境などに重点

総選挙後の首相不在を収束すべく、最大与党の社会民主党と環境党は1月、中道政党の中央党と自由党から閣外協力を引き出すために73項目の協定を結び、これにより社会民主党は予算配分などについて厳しく縛られることになった。春予算案では、1.雇用促進に11億2,000万クローナ(約134億4,000万円、1クローナ=約12円)、2.福祉政策の強化に9億2,600万クローナ、3.国全体の発展に関して5億700万クローナ、4.脱化石燃料に向けた取り組みに19億5,000万クローナを追加手当てするとした。アンデション財務相は「団結と安全が人々の自由、そして与えられるべき機会と共生し、脱化石燃料国家への移行とも連携する。そんな社会を実現するための条件を作りたい。それがスウェーデンを前進させるわれわれのやり方だ」と述べた。

スウェーデン経済は緩やかに減速

政府の経済予測では、スウェーデン経済は比較的高い成長率を維持しつつも、今後徐々に減速するとしている。2019年から2021年のGDP成長率(営業日日数調整済み)をそれぞれ1.6%と見込む(表参照)。2018年11月時点の予測より2019年のGDP成長率を0.5ポイント、2021年を0.1ポイント下方修正した(2020年は据え置き)。減少傾向にあった失業率は、今後わずかな増加を見込むものの、労働市場は引き続き好調な見込み。他方、英国のEU離脱や米国の貿易政策、スウェーデンの住宅市場の不透明さにより、下振れリスクも指摘されている。

表 スウェーデンの主要経済指標

(三瓶恵子)

(スウェーデン)

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