EU一般データ保護規則のガイダンスを求める、2019年外国貿易障壁報告書(EU編)

(米国、EU)

米州課、欧州ロシアCIS課

2019年04月09日

米国通商代表部(USTR)が3月29日に発表した2019年版外国貿易障壁報告書(NTE)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、EUが2018年5月から適用している「EU一般データ保護規則(GDPR)」についてその運用が貿易に不均衡な障壁をつくり出していると指摘。EU域内から域外へのデータの移転に関する不確実性をもたらしているとの懸念を示し、同規則の内容を把握しやすいガイダンスを求めている。なお、米国とEU間の個人データの移転については、部分的な枠組み(プライバシーシールド)があるが、NTEによると、2018年末時点で同枠組みはEU司法裁判所(CJEU)の一般裁判所に提訴されたほか、標準的契約条項(SCC)の使用は司法審査を受けているとしている。

2018年の米国の財の対EU貿易赤字は、前年比11.8%増の1,693億ドルだった。EUは米国最大の財の輸出相手国で、2018年の輸出額は3,186億ドルと12.5%増加し、EUからの輸入額は4,879億ドルと12.3%増加した。2019年版NTEにおいて、EUに関する記述は前年と同様の50ページ程度だった。

米国が懸念する農産物のEU域内でのバイオ燃料認定について、木質ペレットについては確定していない。2018年の木質ペレットの対EU輸出額は7億9,300万ドルで、バイオ燃料として認定されない場合の輸出競争力低下の影響がみられる。大豆については、2019年1月に認定された(2019年1月30日記事参照)。

2019年1月時点で、米国のコーンや大豆など66種類のバイオ農作物は、欧州委員会の遺伝子組み換え(GE)作物基準の審査中(更新を含む)の状態にある。そのうち49種類は科学的判定待ちで、17種類が承認待ちとのことだ。

また、引き続き次の項目も含まれた。

  • 不透明で効率性に欠く規制開発プロセス〔特にREACH、CLP規則などの化学品規制、毎年見直されるREACHの実質評価プロセス(ローリング行動計画:CoRAP)、高懸念物質(SVHC)の「リスクマネジメントオプション分析(RMO)」など〕
  • 機械、玩具、医療機器などの工業製品ごとに定められる、EU統一規格であるEN規格(整合規格)による技術的要件を満たしていることを示すCEマーク(中でも特に、CEマークの表示要件の1つである、EUによる適合性評価の枠組み)
  • EUの民生用原子力技術関連ルール(米国の民生用原子力安全基準を満たした技術へ適用すべきではない)

NTEは、総論編と各国・地域変から成り、総論編は2019年4月5日記事参照。

(松岡智恵子、根津奈緒美)

(米国、EU)

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