2019年の固定資産投資予測、先行き不透明感高まるも前年並みに

(シンガポール)

シンガポール発

2019年02月22日

経済開発庁(EDB)は2月14日、同庁が管轄した国内外の企業による対シンガポール固定資産投資額(FAI、コミットメントベース)が2018年に108億7,300万シンガポール・ドル(約8,916億円、Sドル、1Sドル=約82円)となり、前年比15.1%増加したと発表した。2019年のFAI見通しについては「80億~100億Sドル」と、2018年の水準をほぼ維持すると見込んでいる(図参照)。EDBのベー・スワンジン長官は発表で、「国際的な経営環境の先行き不透明感が大きく増し、多くの国々の経済が軟化する兆しがある。しかし、対シンガポール投資の水準は2019年を通じて堅調に推移する見通しだ」と述べた。

図 固定資産投資額(FAI)の推移 (コミットメントベース)

FAIは2018年に前年比で2桁増となったが、近年ピークの2012年の水準を依然下回っている。FAIが2013年以降に下降トレンドをたどった背景には、EDBが、投資金額にこだわらずに投資誘致対象を転換させていることがある。EDBはイノベーションを促進すると同時に、デジタルエコノミーを推進するため、情報通信メディア分野の投資を積極的に誘致している(2018年3月7日記事参照)。2018年には、情報通信メディア分野のFAIは19億9,900万Sドルと、分野別ではエレクトロニクス(30億8,800万Sドル)に次いで多かった。主な情報通信メディアの投資案件としては、米国のフェイスブックが2018年9月にアジアで初のデータセンター設置を発表(2018年9月14日記事参照)したほか、米国グーグルも同年8月に、同国では3カ所目となるデータセンター設置を明らかにしている。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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