日本オーストリア友好150周年、クルツ首相が訪日

(オーストリア、日本)

ウィーン発

2019年02月22日

オーストリアのセバスティアン・クルツ首相は2月15日、ノルベルト・ホファー交通・イノベーション・技術相とともに日本を公式訪問した。クルツ首相は安倍晋三首相との会談で、日・墺修好通商航海条約締結から150周年を迎えた、両国の良好な経済・文化関係に言及した。また、会談後の記者会見では、2月1日に発効した日EU経済連携協定(EPA)がオーストリアと日本との貿易拡大に貢献するとの認識を安倍首相と共有していることや、オーストリアが世界における核兵器禁止のイニシアチブを取っていることを強調した。

クルツ首相は同日、オーストリアのF1チーム「レッドブル」のパートナーであるホンダを訪問し、二足歩行ロボットのアシモに代表されるロボット技術の発展状況を視察した。

クルツ首相に随行したオーストリア企業9社は、2月13~15日に横浜で開催された「ジャパン・スノー・エキスポ」に参加し、オーストリアが得意とするスキーリフトへのアクセスシステム(自動改札)、人工降雪機や雪上車などのスキー関連技術を、日本のスキー場経営者らに紹介した。日EU・EPAにより、スキーブーツの日本側の関税が27.0%から段階的に引き下げられ11年目に撤廃されるなど、オーストリア企業の日EU・EPAへの期待は高いという。

2019年は日本オーストリア友好150周年に当たるため、今回のクルツ首相のほか、アレクサンダー・ファン・デア・ベレン大統領やカリン・クナイスル外相も訪日を計画している。また、輸出支援を行うオーストリア連邦産業院(WKO)が3月の国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN)にオーストリアブースを構えるほか、日本にファッション(3月)、木材(8月)、ブロックチェーン(11月)などの分野でビジネスミッションの派遣を予定するなど、対日ビジネス促進を強化する。

クルツ首相は2月17日、同日に新規就航した全日空の羽田~ウィーン便を利用して帰国した。全日空は215人乗りのボーイング787-9を毎日運航しており、羽田およびウィーンにそれぞれ早朝に到着するフライトスケジュールはビジネス、観光双方の需要が期待されている。日本政府観光局(JNTO)によると、2017年の訪日オーストリア人観光客は2万1,035人で、2003年に比べると倍増している。他方、2017年にオーストリアを訪れた日本人観光客は20万8,248人で、ここ数年は減少傾向となっている。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア、日本)

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