アメリカモビルがテレフォニカの在中米2法人を買収

(メキシコ、グアテマラ、エルサルバドル)

メキシコ発

2019年02月04日

メキシコの通信最大手アメリカモビルは1月24日、スペインの同業テレフォニカから、グアテマラの子会社の株式を100%買収し、エルサルバドルの子会社の株式も99.3%取得することで合意したと発表した。グアテマラ子会社の買収額は3億3,300万ドル、エルサルバドル子会社の買収見込み額は3億1,500万ドルとなる。グアテマラについては既に取得が完了し、エルサルバドルについては管轄当局の承認待ち(アメリカモビル1月24日付プレスリリース)。

今回の買収により、中米の両国における固定・携帯通信市場と有料テレビ市場におけるアメリカモビルの地位は確固たるものとなる。通信市場関連のシンクタンクであるコンペティティブ・インテリジェンス・ユニット(The CIU)によると、グアテマラにおけるアメリカモビルの固定電話市場シェア(契約者数ベース)は82.9%から87.1%に増加、携帯電話市場における同社シェアは28.2%から47.4%に拡大する。エルサルバドルでは、固定電話市場シェアが67.6%から96.3%へ、携帯電話市場シェアが23.0%から52.7%に拡大する。今回の買収の影響はないが、アメリカモビルの両国での有料テレビ、固定インターネット市場におけるプレゼンスも高く、グアテマラでそれぞれ40.8%、76.8%、エルサルバドルで30.8%、57.5%に達する(CIUニュースレター1月29日)。

国外での売り上げを順調に伸ばす

アメリカモビルはメキシコで2013年以降進められている通信市場改革の中で「支配的企業」と認定され、「非対称の規制(ドミナント規制)」と呼ばれる他事業者より厳しい規制が課されている。また、2015年には米国のAT&Tがメキシコの携帯電話市場に参入し、国内における競争が激しくなっている(2015年2月23日記事参照)。他方、アメリカモビルは従来から米州を中心に対外進出に積極的であり(2017年10月26日記事参照)、2018年9月末時点で世界20カ国(メキシコを含む)において事業展開している。同社の総売り上げに占める国外の売上比率は2015年の77.1%から2017年には79.8%に上昇している(同社2017年度年次報告書)。

(中畑貴雄)

(メキシコ、グアテマラ、エルサルバドル)

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