日本の対中輸出、2018年末にかけ数量ベースで減少

(中国)

アジア経済研究所新領域研究センター

2019年02月01日

2018年の日本の対中貿易は輸出入とも緩やかな増加となったが、輸出は実勢を示す数量指数が年末にかけて急減し、先行きが懸念される。対中貿易収支は2年連続の黒字だが、月次や四半期では赤字と黒字が交錯しており、日本の黒字基調とは言い難い。

輸出に懸念、数量が年末に急減

財務省の1月23日の発表によれば、2018年の対中輸出は15兆9,018億円、前年比で6.8%増だった(表1、2参照)。価格が4.0%上昇するとともに、数量が2.7%増加した。数量は年末にかけて急減し、12月の前年同月比は13.8%減だった。

対中輸入は19兆1,861億円、前年比3.9%増だった。価格の上昇はほとんど見られず(0.5%)、数量が3.4%増加した。輸入数量も輸出同様、年末に減少に転じた。10月は前年同月比12.9%増だったが、12月は3%の減少となった。

2018年はドルレート(対円)が安定しており(前年比1.6%のドル安)、輸出入とも価格の変動が小さい1年で、輸出入とも貿易の実勢を示す数量ベースで緩やかな増加となった。

対中貿易収支は2年連続の黒字だが

日本の対中輸出と中国の対日輸入、日本の対中輸入と中国の対日輸出は、同じものを反対方向から見たにすぎないが、貿易統計上は乖離が生じている。理由としては、日本の貿易統計が円建てなのに対し、中国の貿易統計はドル建て(元建ても公表)であること、日中間には香港経由の貿易が一定量ある中、輸出は仕向け地主義、輸入は原産地主義で集計され、日中間を財貨が移動する間に月が変わる、などの点が指摘できる。

日中間の貿易収支は、日本も中国も自国統計では赤字だが、双方の輸入統計を突き合わせると、日本が中国に対し7,366億円の黒字となった。日本の対中貿易収支は2012年から2016年にかけて赤字だったが、2017年に黒字に転じた。もっとも、四半期でみれば黒字と赤字の期が交錯しており、黒字基調が定着したとは言い難い。輸出は、中国の成長鈍化に数量の急減が重なるかたちとなっており、先行きが懸念される。

表1 日本の対中貿易の推移
表2 日本の対中貿易の推移(前年比)

(箱崎大)

(中国)

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