プーチン大統領、企業家の要望を反映した指示を発出

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年02月27日

プーチン大統領は2月23日に大統領指示(Pr277号)を発出し、連邦政府、中央銀行など関連機関に対し、ビジネス環境の改善を指示した。2月6日に開催された有力ビジネス支援団体「実業ロシア」の年次総会で企業家から出された要望に対応するもの。

司法関連では、ロシア法務省と関係省庁に対し、a.1つの行為で法人とその従業員に同時に行政罰を与えないこと、b.同様の行為による同一条文の行政違反に対し、複数の行政罰を与えないこと、c.国による監督・検査の結果発生する行政違反行為の認定に際して、それを執行する者または規則制定に関わった者の参画を排除すること、に関する提案を行うよう指示した。

金融関連では、a.企業間の電子決済の実現とその管理制度の整備、b.金融機関が根拠なく自分自身の口座に関する預金者の指示を拒否することの禁止(銀行による一方的な口座の凍結の禁止)、c.地場工作機械メーカーへの運転資金の供給支援、などの検討がロシア中央銀行、連邦政府などに指示された。

ロシア外務省に対しては、電子ビザの対象範囲拡大などを含めた外国人観光客へのビザ申請手続きの簡素化(2019年2月19日記事参照)の検討・提案を指示。通信関係では、次世代通信機器のロシア国内での製造・調達、輸出の支援などを連邦政府に求めている。

上記課題の幾つかについては、実業界から大統領・連邦政府に改善要請・陳情が既になされており(最近の例では2018年3月29日記事参照)、それを受けた大統領指示なども出されているが、問題はいまだ解決してない。このような状況を踏まえ、2月20日に行われた一般教書演説のなかでプーチン大統領は「より急進的な手法が必要」と発言。2020年末までにロシアの法的基盤に関する全面的な見直しを実施する方針を示している(2019年2月21日記事参照)。

(高橋淳)

(ロシア)

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