シンガポール外相、ASEAN各都市との連携強化の必要を強調

(シンガポール)

シンガポール発

2019年02月01日

シンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相は1月28日、政府系シンクタンクの政策研究所(IPS)主催のフォーラムで、同国の競争力を維持する方策の1つに、今後著しい経済成長が期待できるASEAN域内の都市をシンガポールの新たなパートナーとして挙げ、パートナー国の多角化を図る意向を明らかにした。

同外相は、政府系投資ファンドのテマセク・ホールディングスと米グーグルの共同レポート(2018年11月発表)を引用して、東南アジアのインターネット経済規模が2018年に総額720億米ドルと、2015年の2倍以上に拡大したと指摘した。その上で「こうした新しいテクノロジーの発展に伴う機会を獲得するために、ASEAN各都市との関係を強化し、新たなパートナーシップを構築する必要がある」と述べ、最初のステップとして、2018年にASEAN議長国を務めた同国が「ASEANスマートシティネットワーク(ASCN)」を構築したと説明した。同国で2018年11月に開催された第33回ASEAN首脳会議では、ASEANスマートシティネットワークの枠組み文書が採択された。同ネットワークには、シンガポールやベトナムのホーチミン、ハノイ、ダナン、インドネシアのジャカルタなどASEAN域内の26都市が参画している(2018年11月26日記事参照)。

IPS主催のフォーラムは毎年、閣僚や官僚、学識者ら政策立案者などを集めて開催している。今回のテーマは、米中貿易紛争やテクノロジーの変化など不透明感が強まる中でのシンガポールの立ち位置を議論する「シンガポールと世界」。フォーラムでは同外相のほかにも、ASEANの重要性を強調する意見が相次いだ。ジョージ・ヨー元外相は、大国同士の対立が深まる中で「ASEANが(組織として)強いほど、シンガポールにとって選択肢が広まる」と語った。その上で、ASEANにおけるインドネシアのリーダーシップの重要性を強調した。今回のフォーラムには、インドネシアのマルティ・ナタレガワ元外相も登壇した。

(本田智津絵)

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