投資・雇用・経済成長促進審議会を設立、多省庁間の横断組織

(メキシコ)

メキシコ発

2019年02月20日

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は2月18日、国立宮殿で投資・雇用・経済成長促進審議会の設立を発表した。審議会の議長(コーディネーター)はアルフォンソ・ロモ大統領府長官が務める。審議会は、農業農村開発省、通信運輸省、環境天然資源省、労働社会福祉省、大蔵公債省、経済省、エネルギー省、外務省、観光省の代表で構成され、学界、企業家組織、労働組合、研究機関、社会団体の代表らを招いて、地域別や産業別の経済・産業育成策の構築を行う。

大統領は、経済成長と福祉は両立しなければならない、福祉のない経済成長は望ましくなく、また経済成長のない福祉も望ましくないとし、福祉については政府が積極的な役割を担うが、経済成長の促進の観点では民間部門の積極的な関与に期待する、と強調した。その上で、過去30年間の経済成長率の平均約2%を現政権下で4%まで高めることを目指すとした。ロモ大統領府長官は、現政権の経済政策を多省庁間で整えていく体制を確保することで、メキシコへ投資を行う際の信頼と安心を投資家に与えることを同審議会は目指すと語った。

産業界も協力の姿勢

投資・雇用・経済成長促進審議会の設立式典(2月18日)には、メキシコ有数の資産家であるカルロス・スリム氏をはじめ、民間部門からさまざまな著名人が参加した。日本経団連に相当する企業家調整評議会(CCE)のフアン・パブロ・カスタニョン会長は、ロモ長官が民間部門の全面的な支援を得ることを約束すると語るとともに、自動車産業や農牧業などの産業別振興策の考案に民間部門として積極的に協力していく考えを示した(「レフォルマ」紙電子版2月18日)。カルロス・スリム氏も、大統領のメッセージを好意的に捉え、国民の団結、経済と社会の変革を保証するものだと語り、現政権が重視する25の優先プロジェクトに積極的に関与する姿勢を示した。メキシコ銀行協会(ABM)のルイス・ニニョ・デ・リベラ会長(アステカ銀行会長)は、4%の経済成長率の達成は可能だが、そのためには、あらゆる部門の参画を経て、共同で投資および開発を進める具体的なプロジェクトを考案する必要があると語った(主要各紙2月18日)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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