2018年の貿易総額は9.2%増、2019年は軟化の予測

(シンガポール)

シンガポール発

2019年02月22日

シンガポール貿易産業省傘下で貿易振興などを担う、エンタープライズ・シンガポール(ESG)は2月15日、2018年通年の貿易総額を前年比9.2%増の1兆1,000億シンガポール・ドル(約90兆2,000億円、Sドル、1Sドル=約82円)と発表した。1兆Sドル超を記録したのは2014年以来4年ぶり。輸出額は前年比7.9%増、輸入額は10.6%増だった。

ただし、2017年にエレクトロニクスを中心に大きく回復した、非石油部門の地場輸出(自国生産による物品輸出、再輸出を除く)は2018年に一転、減速した。シンガポールの輸出指標として位置付けられる同輸出額は4.2%増となり、前年の8.8%増から拡大幅が縮小した。このうち、同輸出の26%を占めるエレクトロニクス分野は、前年の8.0%増から5.5%減へと13.5ポイント落ち込んだ。内訳をみると、パソコン部品(28.7%減)、集積回路(3.7%減)、ダイオード・トランジスター(21.8%減)が、輸出減少の主要因となった。

他方、非石油部門の地場輸出のうち、74%を占める非エレクトロニクス分野は、前年の9.2%増から8.2%増へとやや減速したものの、堅調に推移した。調製食料品(2.1倍)、製薬(24.4%増)、非電子エンジン・モーター(64.3%増)が、輸出増加の主要因だった。

非石油部門の地場輸出を主要な貿易相手国・地域別にみると、中国(8.8%減)、韓国(17.6%減)、香港(3.9%減)、台湾(4.5%減)、マレーシア(0.9%減)、タイ(1.3%減)向けが、前年比でマイナスとなった。とりわけ、エレクトロニクス部門においては、韓国(28.3%減)、中国(12.8%減)向けが大きく落ち込んだ。

ESGは2019年の貿易見通しについて、「貿易総額と非石油輸出の伸びは2017~2018年と比較して軟化する」との予測を示した。その上で、製薬や一般製造などの主要部門のファンダメンタルズは堅調なことから、2019年の輸出を下支えするとしている。ESGは、2019年における貿易総額と非石油部門の地場輸出額の予測を、いずれも2018年11月に発表した「0~2.0%増」のまま据え置いた。

(藤江秀樹)

(シンガポール)

ビジネス短信 1c7e7ab297077ba5