和平交渉への雰囲気醸成か、両国首脳が3回目の会談

(アルメニア、アゼルバイジャン)

欧州ロシアCIS課

2019年01月24日

アルメニアのニコル・パシニャン首相は1月22日、世界経済フォーラム出席のため滞在中のスイス・ダボスで、隣国アゼルバイジャンのイリハム・アリエフ大統領と非公式会談を行ったことを明らかにした。両国メディアが報じた。

パシニャン首相によると、今回の非公式会談では両国が抱えるナゴルノ・カラバフ紛争をめぐる交渉の経緯や、将来に向けた問題の把握・管理の可能性について意見が交わされた。2018年5月のパシニャン氏の首相就任以降、アゼルバイジャンのアリエフ大統領と2カ国で会談を行うのは、9月28日にタジキスタンの首都ドシャンベで開催されたCIS首脳会議(2018年10月2日記事参照)、12月6日にサンクトペテルブルクで行われた非公式CIS首脳会議に続き3回目。

パシニャン首相は、今回の非公式会談は公式な対話プロセスの開始を意味するものではない、と説明している。一方、通常は反アルメニアの論調が支配的なアゼルバイジャンのメディアも、今回の非公式会談について抑制したトーンで報道している。インターネットメディア「デイ・アズ」は1月23日、アゼルバイジャンの首都バクーにある国際政策・安全保障分野のシンクタンク「バクー・ネットワーク」専門家グループ長のエリハン・アレスケロフ氏による、ナゴルノ・カラバフ問題が解決に向け前進するとの見方を掲載した。アレスケロフ氏はその理由として、パシニャン氏が、第三者(ミンスク・グループ、注)の介在よりも当事者間での対話プロセスを重視していること、パシニャン氏はナゴルノ・カラバフ地方出身の前首相セルジ・サルグシャン氏よりも交渉相手として合意に近づく可能性が高いこと、パシニャン氏には領土紛争以外に解決しなければならない(経済)問題があり、そのための支援(エネルギー供給や輸送インフラの提供など)を行う能力がアゼルバイジャンにあること、などを挙げている。

(注)欧州安全保障協力機構(OSCE)ミンスク・グループ。フランス、ロシア、米国などが参加し、和平プロセスを仲介している。

(高橋淳)

(アルメニア、アゼルバイジャン)

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